アイティメディアでは、一般的に新卒採用と言われる採用の形を、「定期採用」と呼んでいます。これは、新卒だけでなく、既卒や第二新卒の方も、採用の対象としているためです。また、中途採用者の育成も活発です。これからスキルを身に付けていく段階の方を、自社での育成を前提として採用することも多くあります。
ところで、「第二新卒」という言葉は、どのような人を指すのでしょうか? はっきりした定義があるわけではなさそうです。第二新卒として入社した本人の経験談を聞く機会も、あまりありません。そのため、第二新卒として転職活動をしたいと思っても、新卒での就職活動ほど情報が多くないのではないでしょうか。
この記事では、第二新卒という言葉の範囲を広くとらえて、20代でアイティメディアに転職した社員4名に、ランチ座談会で自分の転職経験について話してもらった内容をお伝えします。聞き手は、定期採用担当者の管理本部 人事統括部 HRリクルート&サポート部の堀です。
※トップ写真ですが、1名「恥ずかしい」とのことで顔出しNGでしたので、ご本人似のイラストに差し替えています…!笑
座談会メンバー紹介
Aさん……編集記者職。2023年4月に新卒として入社。
半導体、電子機器の部品を扱うメディアの取材や編集、執筆を行っている。
Bさん……エンジニア職。2022年7月入社。
各メディアに掲載する広告を管理するための社内ツールを作っている。
Cさん……営業職。2022年9月入社。
取引実績のない企業に電話をかけ、自社を紹介して商談につなげる役割を担う。
Dさん……子会社・発注ナビの営業職。2023年11月入社。
カスタマーサクセス担当として、既存のクライアントの定期フォローを行っている。
Aさん――新卒入社してすぐ、本当にやりたいことに気付いた
私は大学でメディア論を専攻しました。もともと文章を書くのが好きだったこともあり、新卒の就職活動は政治分野の記者になりたいと考え、大手新聞社記者職を志望したのですが、内定は出ず……。「世の中をもっとよくするため、政治の情報発信に携わりたい」と考えていたので、政治部のない専門紙やWeb媒体応募はせず、待遇や安定性を考えて地元のインフラ系企業に入社しました。
入社後は、営業職として働いていました。でも、入社してすぐ、自分が重視するのは待遇や安定性よりも仕事内容で、やはり文章を通して情報発信をしたいと気付いたんです。4月中には、第二新卒として就職活動を再開していました。
再度の就職活動にあたって、やりたいことだった「世の中をもっとよくするための情報発信」は、テクノロジー分野のメディアでもできるのではないかと考えました。自分自身も、地方にいながら映像授業で東京の予備校の授業を受講するなど、テクノロジーの恩恵で選択肢が広がった経験があったからです。そこで、テクノロジー系メディアを調べ、アイティメディアの定期採用を見つけました。第二新卒も応募OKと明記してある企業は珍しく、門戸を開いてくれている感じがしました。
入社した感想は、大満足です! 私は文章を書くことがとても好きなので、こんなに楽しいことを仕事にしてもいいんだと思うほどです。現在は半導体メディアの担当をしていますが、入社するまでその分野の知識はありませんでした。でも、持ち前の知的好奇心の強さで、楽しみながらキャッチアップできていると感じます。
第二新卒での転職を経験してよかったもうひとつのことは、挑戦意欲が出てきたことです。仕事でもプライベートでも、自分の可能性を狭めなくてもいいと思えるようになりました。今は、半導体業界の知識習得に取り組んでいます。担当メディアの上司や先輩は、工学系のバックグラウンドがなくても取材先から信頼されているので、自分もそうなりたいと思っています。
堀: Aさん、今の仕事に大満足と言っていただけて、うれしいです!
Aさんは前職入社後3か月も経たない頃に応募いただきましたね。採用担当者として情報発信への強い熱意を確認しながら、選考過程に伴走しました。
B: Aさんのように、入社してから短い期間で第二新卒で転職することは、どのような印象になるのでしょうか?よく、「3年間は同じ企業で働いた方がいい」と言われたりしますが……。
堀: 転職までの期間が短いことは、必ずしもNGではありません。でも、第二新卒としての転職を選択した理由は、しっかり説明できる必要があります。Aさん自身でもたくさん考えていただいた思い出があります…!
Bさん――働き続けるためのキャリアチェンジ
私は大学で農学を専攻し、新卒では専門分野に関係したメーカーの研究開発職に入社しました。しかし、実際に業務に取り組んだり、他の社員の話を聞いたりするうち、キャリアパスや業務の中で求められる能力が想像していたものと違うことが分かりました。1年半勤務した時点で、この環境では自分が長く働き続けることはできなさそうだと考え、転職を決意しました。ただ、自分の想像と実際の環境の違いは、就職してみないと分からないことでしたし、志望していた企業に入社できたのは間違いないので、後悔はありません。
転職にあたっては、自分が長く続けられそうな職種をよく検討しました。エンジニアが候補に挙がり、試しにアプリを作ってみたところかなり熱中できたこともあって、退職してプログラミングスクールに通い始めました。働きながら学習することは難しそうだったのと、在籍しているうちに踏ん切りがつかなくなることが想像できたので、退職には退路を断つ意味もありました。
アイティメディアを知ったのは、プログラミングスクールの紹介がきっかけです。選考の一環として、社員とやり取りしながら一緒にコードを書く機会がありました。その際にコミュニケーションが取りやすいと感じて、志望度が高まりました。無事入社できた後は、大きめのタスクを割り振ってもらい、スキルアップや昇格につながる挑戦機会を与えられていると感じます。コミュニケーションの取りやすさも面接時の印象通りでした。心理的安全性を感じながら働けています。
将来の目標は、第一にエンジニアとしての技術力を上げることです。また、チーム全体の生産性を底上げできるスキルを身に付けたいとも思っています。現在の所属部門では、レビューや効率的な進め方の共有は部長が行っていますが、そうしたコミュニケーションを担えるようになりたいです。
堀: Bさんは、他業界からの転職でしたね。安心して働ける、スキルアップの機会があると感じていただけて、私もほっとしました。「コミュニケーションを担えるエンジニア」という将来のビジョンに期待してます!
D: 私は同じ職種での転職だったのですが、経験のない職種に応募する場合は、第二新卒でも知識や経験が必要なのでしょうか? どこまで準備すべきなのか、ちょっと気になります。
堀: あくまでもアイティメディアの場合という話になりますが、必ず行ってほしいのは、新卒で入社した企業での体験を踏まえて、自分が求める業務内容や環境、キャリアパスを明確に整理することです。それが、選考過程でマッチングを確認し、入社後もスムーズにキャッチアップして、前向きに働くための決め手になります。
Cさん――転職前の経験が今の業務に活きた
学生時代から、趣味の一環でプログラミングを独学で勉強していました。そのためエンジニア職を志望しましたが、新卒入社した企業では営業部門に配属されることになりました。営業職としては、製造業のクライアントに対して、開発ツールのルート営業を行っていました。実はこの時から、アイティメディアの読者です。
営業の仕事そのものは楽しかったのですが、商材の特性上、クライアントから要望を受けても製品にすぐ反映できないことに歯がゆさを感じていました。インサイドセールス業務を経験して、取引実績のない企業と最初の接点を作るところに面白さを感じたこともあり、アイティメディアのインサイドセールス職の求人を見つけて、応募しました。アイティメディアでは、無形商材やデジタルマーケティングを扱うため、どこでも通用するスキルを身に付けられそうだったのも魅力でしたね。
就職活動のときに突き詰めて考えていれば、もしかしたら興味を持ち続けられる商材に出会えていたかもしれません。しかし、アイティメディア入社にあたって、製造業界の知識を評価してもらい、現在でも製造業のクライアントへのヒアリングの際は経験が役立っています。新卒入社した会社で過ごした時間も、決して無駄ではありませんでした。
入社後は、前職の経験もあり、取引実績のない新規企業に電話をかけることに抵抗がなく、スムーズにキャッチアップできました。キャリア形成の面でも、上司がモチベーションや今後やりたいことを1on1で丁寧に聞いてくれるので、自分の意欲を引き出してもらえています。インサイドセールスは新規企業との接点を持ち、提案機会の創出には至らなくても、お客様のリアルな声を聞くことができます。クライアントのニーズをプロダクトに反映する動きがアイティメディアにはあるので、前職でやりたかったことを実現できています。
転職の経験を通して、知識や経験の蓄積が役に立つことが分かったのもあり、当面はインプットに注力したいと考えています。冊数の目標を決めて、本を読んでいるところです。
堀: Cさんはもともとアイティメディアの読者だったんですね! ご縁があっての入社になりましたね。
A: Cさんとは同じ製造業のクライアントに携わっているので、親近感があります! 「ヒアリングに前職の経験が役立っているので、新卒入社した企業での経験も決して無駄ではなかった」というとらえ方が素敵だと思いました。
堀: 新卒入社した後の経験の受け止め方は、第二新卒での応募の際にも大切な視点ですね。今の環境でやり切ったうえで第二新卒での転職を希望するのか、それとも後ろ向きな気持ちなのか……ということは、入社後の姿勢にも影響するため、採用担当者が重視したいポイントです。まずは今の会社でもっとできることがあるか、考えるのもよさそうです。
Dさん――成長を求めて何もかも違う環境へ
大学では商学部で学びました。就職活動では営業職を志望し、いろいろな業界を見て、結局不動産販売企業に入社しました。地元配属を明言されていましたが、結果東京勤務になり、東京で6年間仕事をしました。
入社後の業務は、不動産販売と現場の管理です。働いていく中で、自分の考えと会社の意向が嚙み合わないと感じることがありました。転職の意思が決定的になったのは、拠点の人員が削減され、業績拡大よりコストカットを重視する方針に転換したことです。このままの環境では、自身の成長できる見込みも低いのではないかと感じました。新卒入社から年数を重ねるうちに環境が変わり、それに応じて自分のキャリアに対する考え方も変化した形です。
転職にあたって、新しい業界でチャレンジしたいと思い、IT業界の営業職の求人を探しました。そのとき、発注ナビを知って興味を持ちました。一次面接で発注ナビの社長と話した際、自身のこれまでの経験を活かした上でさらに成長できる環境だと感じ、入社を決めました。
今は、発注ナビに転職できてよかったと思っています。発注ナビの環境を前職と比べると、業務のプロセスは全く違いますね。前職は毎日出社する必要があり、仕事は全て紙で行っていましたし、連絡はファックスを使っていました。また、管理する物件に直接出向くことも多かったです。発注ナビでは業務や連絡は全てPCで完結しますし、無形商材を扱うので現地に行って管理することもないため、働き方は大きく変わりました。
とはいえ、自分はまだまだアナログな人間だと感じています。会社では動画学習の機会も提供されているので、デジタルの知識をもっと身に付けたいです。また、社内では誰でも業務に対する提案ができ、提案がよいものであればすぐ反映されます。私も今後よい提案ができるようになりたいです。
堀: Dさんは、環境の差が大きい転職になりましたね。
C: アイティメディアや発注ナビは、Web会議やテキストでのコミュニケーションが多いので、毎日出社してファックスで連絡という環境からだと、確かに最初は驚きそうですね……。
堀: 企業によって業務の環境は様々なので、転職後のキャッチアップには少し時間がかかるかもしれません。また、提案がしやすい社風は、その反面で、自ら学び考えて、業務上の課題を解決することが求められます。社会人を経験した目線で、会社ごとの社風を確認することも大切ですね!
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アイティメディアでは、新卒として入社する採用枠に対して、既卒・第二新卒の応募者も歓迎しています。選考プロセスや評価基準そのものに違いはありません。ただ、社会人経験を踏まえた就活軸、現在の企業でできることをやり切り、改めてアイティメディアに新卒扱いで入社したい理由といった、第二新卒で転職活動をするならきっと自分の中にあるはずのことは、説明できるように整理してみてください。
キャリア形成において、転機となる出来事は20代でもたくさん出てくると思います。その時に感じた気持ちや取り組んだ行動は、いつか転職活動をする際に活かせるかもしれないので、ぜひ忘れずにいてくださいね。皆さんの決断と挑戦を応援しています!