今日の企業活動に、PCやネットワークの管理を行う縁の下の力持ちとして、情報システム部門の存在は欠かせません。特に、働く場所の自由度を高める「スマートワーク制度(※)」を導入しているアイティメディアにおいて、遠隔でセキュリティを担保していく情報システム部の存在は非常に重要です。
※スマートワーク制度……働く場所をオフィスなどに固定せず、一定の条件の下で自由に選択できるアイティメディアの制度。
この記事では、管理本部 総務統括部 情報システム部長の河野佑介と、情報システム部員の朝日奈宏行、磯部好平のインタビューを通して、当社の情報システム部の思いや、リモートワークを支えてきた取り組みをお伝えします。聞き手は人事の堀です。
――情報システム部の皆さんには、リモートワークを支えていただき、セキュリティ強化など企業として欠かせない取り組みにもご注力いただいて、とても感謝しています! 今日は皆さんのことをいろいろ聞かせてください。まず、自己紹介を兼ねて、今の業務を教えていただけますか。
河野: 私は、情報システム部の部長として、メンバーのマネジメントと、今後の戦略の立案を行っています。主に担っているのはセキュリティです。もともとはシステムエンジニアで、情報セキュリティに特化した会社にいたとき、現在の上司に誘われて転職してきました。
朝日奈: 基盤となるシステムや、セキュリティ面で必要なモニタリングの環境整備を行っています。並行して、ユーザーサポートにも携わることがあります。私は前職でも、企業の情シス部門に在籍していました。いろいろな業務を担当するうちに、もっと裁量を持ち、改善提案などもしながら働きたいと思い、アイティメディアに転職しました。
磯部: 部全体の業務フローなどを見直し、効率化を図るとともに、部門間連携もしやすくなるよう、業務改善を行っています。朝日奈さんと同じく、ユーザーサポートも行っています。私はエンジニア出身ではなく、ウェディングプランナーなど全く違う業種で働いていました。アイティメディアに転職したあと、機械の扱いが得意だったこともあり、当初は他部門から応援に来ていました。その後正式に異動して、部のメンバーになりました。
スピードから安全へ――リモートワーク環境の整備
――私たち人事部と情報システム部はいわば「隣の部」で、日頃からよく連携していますが、改めて業務のことをうかがうと新鮮です! 新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、全社で在宅勤務となったときは、一丸となって安心して働ける環境の整備を行いましたよね。その頃から今までの、情報システム部のビジョンとは、どのようなものでしょうか?
河野: アイティメディアでは、緊急事態宣言が発出されたあと、全社で在宅ワークに切り替えとなりました。ただ、働く場所の自由度を高める制度が前々から準備されている中でもあったので、会社の方針として、一時的な対応だけではなく、通常の業務体制の中でも在宅ワークができる環境を確立することが求められていました。
この中で、情シスとしては、まずはとにかく在宅で業務を継続できるよう、スピード感を持って、Web会議ツールやチャットツールなどを導入しました。感染拡大が落ち着いてくると、出社する人数も増えてきたのですが、リモートワークも含めた働く場所の自由度を高める「スマートワーク制度」は現在まで続いています。そこで、今後も安全なリモートワーク環境を提供するために、セキュリティ面の補強を行いました。また、急激な変化への対応がひと段落したところで、業務効率化など中長期的な取り組みも始めたところです。
問題の芽を摘みながら、新しい状況に対応する
――リモートワーク環境を整備する取り組みが、新しい局面に入ったところなのですね。そして、セキュリティの話題が出てきたところで、セキュリティに関する皆さんの考え方もうかがわせてください。たとえば、社員から利便性の高い外部ツールを利用したいと相談されたとき、どのようなスタンスで判断されていますか?
河野: 絶対に守らなければいけない部分の安全性を確保したうえで、ケースバイケースで柔軟に対応しています。テクノロジー領域のWebメディア運営企業という業種上、ITの新しいツールやサービスの情報に触れることも多く、また自ら使い勝手を試してみたいと考える機会もあると思うので、新しいものを使ってみたいという社員のニーズは必ず出てくると考えています。そのため、相談を受けたら、前例がないからというだけで断ることはしていません。考えうるリスクを共有したうえで、セキュリティ上問題ない使い方の落としどころを見つけるようにしています。アイティメディアの皆さんには、情シスに事前に相談する意識が浸透しているので、助かっています。
――問い合わせに柔軟に対応していただけるのは、とても助かります。朝日奈さんや磯部さんは、ユーザーサポートを担当しているとうかがいましたが、実際の一対一のやり取りで大切にしているセキュリティ上の考え方を教えてください。
朝日奈: まず前提として、社員の皆さんのモラルやリテラシーの高さは理解しており、信頼しています。その上で、問題の芽を事前に摘まなければいけない立場として、適切ではない使い方がなされる可能性も想定するようにはしています。セキュリティの面で、情シスは、社員の皆さんの行動にブレーキをかける立場です。問題が起こりそうだと感じたときに適切な対応を取るため、リスクに注目することに努めています。もちろん、社員をサポートすることが情シスの根本の役割なので、親身になって伝えるべきことは分かりやすく伝えるようにしています。
磯部: 私も、社員のサポートをする立場であることを大切にしています。情シス部門のステークホルダーは社員だと思っています。セキュリティ面からご協力をお願いすることもありますが、それも社員によりよい環境を提供する目的で行うことです。バックオフィス部門は自身で収益をあげるわけではないこともあり、少しでも働きやすくなるように寄り添うことで、価値を還元したいです。
「一番よいのは、何も起きていないこと」
朝日奈: 今の磯部さんの話に関連して、セキュリティも含めた全体的な考え方の話になるのですが、情シスはトラブルを起こさないことが目標となる点も、他の部門と違うところだと思っています。一番よい状態が、目標を達成し上回ることではなく、何も起きていない状態が毎日続いていることなので、業務上の姿勢が異なるところはあるかもしれません。私自身も、何かが完了して達成感があるというよりは、日々の運用や改善を通して、自分の中で反省を続けているような感覚があります。
磯部: 情シスの取り組みは節目がなく、外部環境の変化に合わせて、その時々の課題を解決していくことになります。だから、今の課題を解決できたという小さな達成はあっても、ひとつの大きな改革として完結するプロジェクトに携わる機会は、あまりないかもしれません。しかし、メンバーも増えて、業務効率化のような中長期的な取り組みができるようになってきました。これからは、抽象的な課題を解決して、より大きな達成もできるかもしれません。
河野: 朝日奈さんと磯部さんが認識しているように、情シスの業務には終わりがありません。たとえば、システムを新規に導入するとき、利用方法が全体に周知されて、効果が出始めたところでやっと道半ばという感覚があります。その後も、運用の改善検討など、取り組みが続いていきます。
ただ、日々の業務の中で、組織としての成長を感じます。特に、相手が必要とする情報を提供し、分かりやすく納得してもらえる説明ができていますね。セキュリティ関連の施策では、必要な取り組みであっても、ひと手間増える印象を持たれる場合もあります。そんなときも、現在の課題と、課題解決のメリットを伝えることで、納得したうえで協力してもらえるようになりました。
――確かに、施策が必要な理由や実施した場合のメリットが分かると、快く協力できますね。また、情報の管理やセキュリティに対して、自分事という意識も持てるようになると思います。日々の業務から、より大きな方向性を考えるときまで、全社の利益の最大化を考えてくださっていることが伝わってきました!
ところで、2024年10月には、全社表彰のひとつ、Innovation社長賞(※)を受賞されましたね。受賞された取り組みについても教えていただけますか。
※Innovation社長賞……アイティメディアで四半期に一度行っている社員表彰のひとつ。全社員を対象にした新規性のある取り組みに与えられるInnovation賞の中で、特に優れていると評価された取り組みに与えられる。
河野: 簡単に言うと、Innovation社長賞を受賞したのは、セキュリティ強化の取り組みです。たとえば、貸与PCの入れ替えにあたって、セキュリティ強化と社員のニーズを同時に実現することができました。これは全社アンケートを行い、長持ちするバッテリーや、スペックの向上といったニーズが高い点を把握して、機種の選定に反映したことで可能になったものです。
磯部: PCの入れ替えのあと、動きの速さやバッテリーの持ちがよくなって便利になったと言ってもらえたのはうれしかったですね。
朝日奈: セキュリティ強化は、短期的に目に見える効果があるものではないため、なかなかフィードバックを受ける機会はありませんが、情シスとしては「問題が何も起こらない状態が続くことこそが最高」だと思います。今回のセキュリティ強化施策も、決してゴールしたわけではありません。トラブルを予防し、何も起こらない日々を続けていくために、これからも日々運用と改善を続けていきます。
安全性も、利便性も
――日々問題なく業務に取り組めているのは、情シスのみなさんが先回りして安全な環境を作ってくださっているからなんですよね。私も感謝を伝えられるようにしていきます!
最後に、今後もアイティメディアは働く場所の自由度を高める制度を継続していく予定ですが、それを支える情シス部門としての目標を教えてください。
河野: 部長とメンバー3名で、400人以上の出社とリモートワークの柔軟な働き方を支えていることは、あまり注目される機会はありませんが、成果のひとつだと思っています。私たちが目立って活動する機会が少ないことは、会社が安定して稼働できているということの表れではないでしょうか。
今後は、この何も起きていない安定感を保ちながら、メンバーの負担を軽くすることを模索していきたいです。また、安全性を担保したうえで、社員の皆さんの環境も自由度を高め、さらなる価値創出に貢献したいと考えています。
情シスの役割は、利便性と安全性のどちらかだけ実現するのではなく、どちらも両立させることです。アイティメディアという、テクノロジーの活用を促進する企業の情シスとして、自分たちもテクノロジーを便利に活用しながら、高い水準の安全性を実現していきます。