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アイティメディアの未来を作る新入社員たち 2021年度入社式

 2021年4月1日、当社に総合職3名、編集記者職2名――計5名の新入社員が加わりました。アイティメディアでは、新入社員を歓迎するため、席を離して配置する、出席者全員がマスクを着用するなど、感染対策に十分配慮しながら、実際に対面して入社式を行っています。社長及び副社長からの歓迎の言葉と、新入社員たちの決意表明の様子をお届けします。

10年後、20年後の将来を担ってほしい

 入社式では、まず大槻社長から歓迎の辞がありました。

大槻: 皆さん、入社おめでとうございます。社員一同心から皆さんを歓迎いたします。

 今日は入社式なので、世界の市場にも目を向けて、大きな話をしますね。

 去年、グローバル・テクノロジー・ガリバーといわれるGAFAMの時価総額が、日本の東証一部上場企業2000社――当社もその一角に入っていますが――の時価総額を足したものを抜いたという記事が出ました。日本の企業が世界で戦っていくのが難しい時代になってきましたね。

 テクノロジー企業のスタートは1910年代。最初はデータサービスのキーパンチの仕事から始まり、世の中が大きなコンピュータの時代へと変化していきます。皆さんは見たこともないであろう、1台何百億とする大型コンピュータが、第1次、第2次オンライン化を実現して、たとえば全国どこのATMからでもキャッシュが出し入れできるような時代になっていったわけです。

 そのあと、コンピュータはダウンサイジングして、ミニコン、オフコンという時代から、我々に身近なパーソナルコンピュータの時代へ入っていきます。この70年代、80年代は、日本の企業もグローバルに伍していました。ハードの時代は、日本企業も世界に対抗できていたのです。

 ところが時代の主役は、ハードからソフトに変わっていきます。世界ではソフトで躍進する企業が次々と誕生しました。日本でも、TRONプロジェクトといって、国産OSで外資に対抗しようとした時代がありました。しかし残念ながらこれはPC用OSとしては失敗。そして世の中が、インターネットの時代、ウェブサービスやクラウドの時代になっていく中で、日本企業が世界で活躍することはなかなか難しくなりました。

 なぜ難しいのか。それはマザーマーケットの大きさの違いだと私は考えています。

 私は当社のパートナー企業である、ボストンのTechTarget社やサンフランシスコのON24社、その他北米のさまざまなメディア企業と関わってきています。その経験を通じて気付いたのは、アメリカや中国の企業は、マザーマーケット、つまり自国のマーケットで一番になることが、イコール世界で一番になることなのだという点です。日本とは異なり、圧倒的に足場の市場が大きいわけです。

 当社は国内で成功してきた会社です。ですが、いずれグローバル企業と伍していかなければいけない時代が来るでしょう。

 この5人の新入社員の皆さんは、来年や再来年の当社のために入社したわけではありません。皆さんは、10年、20年後、グローバル企業と競争をしていかなければならないアイティメディアの未来のために入社してくれたと私は思っています。

 今日から、日々皆さんが向き合う仕事の多くは、非常に地道なものでしょう。まずはしっかりそれに取り組んでください。その上で、ちょっと疲れたり、壁にぶつかったりした時には、「そういえば入社式で社長が、君たちは10年後、20年後のアイティメディアのために入社したのだと言っていたな」と思い出してください。足元で辛いことがあっても、壁にぶつかっても、10年後、20年後に、アイティメディアが世界で勝負するときに当社を担う人材であってほしい。そしてアイティメディアの次の将来を決めていく、そういう人材に育ってほしいと、心から思っています。

社会貢献というイマジネーション

 続いて、小林副社長の歓迎の言葉も紹介します。

 小林: 私からは、「アイティメディアで働くということ」というテーマでお話したいと思います。

 入社式に少し厳しい話をしますが、仕事は非常に辛いです。皆さん、これは覚悟してください。そして、仕事が辛くなった時に、今から私がする話を思い出してください。

 イソップ童話の話です。レンガを積んでいる3人の職人がいました。1人目の職人に「あなたは何をやっているのですか?」と聞きました。その職人は「レンガを積んでいます、見たら分かるでしょう」と答えます。2人目は「教会を建てています」と答えました。そして3人目は「町の人たちにとっての心の拠り所を作っています」と答えました。

 これを当社の仕事に置き換えるとどうなるか。1人目は「営業をしています」もしくは「記者をやっています」。2人目は「クライアントにマーケティングソリューションを提供しています」もしくは「ITmedia NEWSというメディアを運営しています」と言えるかもしれません。

 皆さんが辛くなった時に思い出してほしいのは、3人目の答えを置き換えたものです。つまり、我々のパーパスでもある「メディアの革新を通じて情報革命を実現し社会に貢献しています」ということです。

 毎日、毎日レンガを積むだけの仕事は確かに辛いです。そうではなくて、それが結果的には、情報革命を実現して社会に貢献している、そのイマジネーションをもってぜひ仕事をしていただきたいと思っています。

 そして、今日さらにフォーカスしたいのは「情報革命」という言葉です。ソフトバンクグループの理念は「情報革命で人々を幸せに」。これはよく知られていますが、実はボディコピーがあります。「超知性のコンピュータすら使いこなせる、今後人類が迎えるそうした情報のビッグバン『情報革命』の無限のパワーを、人々の幸福のために正しく発展させていくこと」。これこそがソフトバンクグループの志なのです。

 私たちアイティメディアは、メディアを通じてテクノロジーをより正しい方向に使うべく情報を発信しています。それこそが私たちの社会における意味です。日々レンガを積む仕事は大変辛いですが、その先にあるのは、教会を建てることではなく、「情報革命」を実現することです。

 そして今日はもう一つ、「情報」という言葉についても考えてみたいと思います。さて、「情報」とは何でしょう? さまざまな定義がありますが、私が好きなのは2つですね。

 日本を代表する知の巨人、梅棹忠夫氏はこう述べています。「人間はある情報を得ることによって次にとるべき行動を決める。情報が行動に影響を与える」。逆に言うと、行動に影響を与えないものは情報とは言わない。読み手がそれによって行動変容を起こすものこそ情報です。そして、コンピュータの父のひとりと言われているクロード・シャノン氏はこう述べています。「ある情報の価値は、情報の受信者に依存した相対的なものである」と。

これから皆さんはプロとして情報を扱います。そこでの情報とは、受け手の行動に影響を与えるもの、その価値は送り手が決めるものではなく受け手が決めるものだということを、ぜひ肝に銘じていただきたいと思っています。

 最後に、繰り返しになりますが、なぜ皆さんは数多ある会社の中でアイティメディアを選んでこれから働いていくのか。それはレンガを積むためではありません。「メディアの革新を通じて情報革命を実現し社会に貢献する」、これを今後の社会人人生で続けていってほしいと思います。

一歩踏み出す大きな決意

 続いての決意表明では、新入社員それぞれの口から、社会人として一歩踏み出す決意がしっかりとした言葉で語られました。5名全員が個性的な一言を伝えてくれましたが、共通して筆者の印象に残ったのは、学生時代の経験をもとに、自分自身の長所や目標を見つけ、それらを社会の中で生かしていこうとする意志の強さでした。コロナ禍の中で就職活動をしたことも影響しているかもしれませんが、自分と向き合ってきた時間の長さや自らの内側を掘り下げた深度の大きさが感じられました。

 その後の入社証書授与では、人事担当が注目した5名全員の長所がひとりずつオリジナルな文言で読み上げられました。これから当社で発揮してほしい長所を改めて言葉にして伝えたことで、新入社員たちも喜んでくれたようです。

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