アイティメディアが運営するWebメディアのひとつに、「ねとらぼ」があります。2011年に、ネット上の旬な情報を、国内外からジャンルを問わず幅広く提供するWebメディアとして開設後、月間PVが3億を超える国内でも有数の巨大サイトに成長しました。2024年5月には開設以来最大のブランドリニューアルを行い、インターネットを楽しむすべての方々のための総合メディアとしてさらなる拡大を目指しています。
ねとらぼを運営する編集部は、以下の通り4つの編集部に分かれています。(2024年8月現在)
- ねとらぼ全般に関わり、「ねとらぼらしさ」を体現する記事作成や編集記者育成を行う基幹編集部
- 生成AIを活用した新しい記事の枠組みを開発するAIメディア開発部
- 口コミやアンケートといった調査を行い、トレンドが分かるランキング形式の記事などを作成するリサーチ編集部
- ネットユーザーの間で盛り上がっている話題や、これから注目されそうなテーマのニュースを作成するニュース編集部
この記事では、BtoCメディア事業本部 ねとらぼ局から、執行役員局長の和泉良、統括部長としてリサーチ編集部・ニュース編集部をマネジメントする角田縛、基幹編集部長の加藤亘、AIメディア開発部長の西尾泰三にインタビューを行い、インターネットユーザーに親しまれるねとらぼの「意外と硬派な」理念や、採用にあたって注目しているポイントを伝えます。聞き手は、管理本部 人事統括部 HRリクルート&サポート部長の木幡です。
「インターネットの普通」を提供したい
――ねとらぼは、多くのネットユーザーに親しまれていますが、専門性の高いテクノロジー情報を扱う当社のWebメディアの中では、インターネットのトレンドという方向性の違うテーマを取り上げていますよね。まずは、ねとらぼがどうやってできたのか、教えてください!
和泉: ねとらぼを立ち上げたいと考えた動機は、「インターネットの普通」を提供したいと考えたことでした。当時、インターネットにはすでに多くの情報が流通していましたが、新聞や雑誌のような情報を扱う上での定型は意識されていませんでした。ねとらぼを通して、インターネットの情報発信の共通理解を作りたかったんです。
今日の、月間のPVが3億を超える巨大サイトに育った理由は、記事を作成する編集記者の力だと考えています。立ち上げ時には4名だった編集記者も、現在は40名を超えました。メディアで情報発信するための正統派の方法を身に付けた編集記者が、インターネットの旬な話題を取り上げることで、楽しく読めることと信頼性の高さを両立できています。
ねとらぼ憲章
――ねとらぼは、親しみやすい内容を扱いつつも「意外と硬派なネットメディア」であるということは、和泉さんがいつもお話ししておられる通りです。そんなねとらぼの柱として、「ねとらぼ憲章」があります。「ねとらぼ憲章」についても教えてください。
加藤: 「ねとらぼ憲章」は、ねとらぼに携わる編集記者の行動指針です。私たちねとらぼのあるべき姿を、端的に6つにまとめて、読者と我々の約束として明示したものです。
ねとらぼ憲章
ねとらぼは、読者にとって有益であり「誰得」な、ありとあらゆる情報を編集部の独自の視点と良心をもって広く正しく迅速に伝えることを目的とする。
【1】読者のためにある
【2】オリジナリティ
【3】裏を取り検証しデマを拡散しない
【4】早いにこしたことはない
【5】著作へのリスペクトを忘れない
【6】良心に従う
【7】自分たちが楽しむ
ここで私たちが示している行動方針として、たとえば、著作権者へのリスペクトがあります。ねとらぼを開設した頃のWebメディアは、個人のSNSの投稿を引用する際、許諾を取っていない場合も多く見られました。その一方で、私たちは、投稿がなければ成立しない記事の場合、投稿者個人に許諾を得ることにしました。
ルールにのっとった運営をしていることは前提として、一番大切にしているのは、「自分たちが楽しむ」ことかもしれません。改めて言葉にすることはありませんが、編集部全体が、日々の業務の中で共有している価値観だと思います。自分たちが最終的に楽しめるもの、納得できるもの、読者に読んでほしいものを読者に届けています。
挑戦できる人と一緒に働きたい
――ねとらぼ編集部は、信頼性の高い情報を伝えることと楽しむことを、両立しているんですね。編集部で一緒に働きたい人のイメージはありますか?
加藤: まずは、ネットリテラシーが備わっている方ですね。採用面接の際は、普段見ているメディア、発信している内容、考えていることを質問しています。ただし、インターネットでの発信の常識を理解している方であれば、入社までの経験や詳しい分野は、これといって限定していません。編集部員の得意な領域には、なるべく幅を持たせたいと考えています。
西尾: 編集部には、エンターテインメントや動物の話題など、特定の領域に特化した記事を作成する編集記者もいます。今後も、ジャンルに特化した編集記者を採用することはあるかもしれません。幅広くインターネットのトレンドを扱うにしても、特定のテーマに集中するにしても、自ら工夫できる方と一緒に働きたいと考えています。高いPVを得るためのノウハウは、編集部内で共有できるので、それを自身の担当テーマに当てはめたときにどのような記事になるのか、試行錯誤して記事を作成していただきたいからです。
角田: ねとらぼには、リサーチやアンケートをもとに、ランキング形式で発表する記事もあります。採用の場面では、知識の豊富さはもちろん、数字に強い人はリサーチを担当してもらう期待ができるので、大きなプラスになりますね。
ちなみに、面接では、興味がある分野と合わせて苦手分野も質問しています。自身の興味がある分野以外も、積極的に情報収集する姿勢を求めたいからです。とはいえ、最初から苦手なテーマにあえて取り組んでもらうわけではありません。選考過程を通じて得意分野を見極め、それを活かせるような業務をアサインします。まずは、ご自身の突出した能力を発揮してほしいです。
西尾: 採用後を見据えて、面接時から注目している点としては、問題解決能力とコミュニケーション能力も挙げられます。記事を作成している中で、課題は必ず出てきます。その時に、課題をかわすだけでなく、打破できる問題解決能力が必要だからです。またコミュニケーション面では、自身が解決策を思いつかないようなときに、周りから引き出すやり取りができそうか、というところを見ています。
――ねとらぼで活躍するイメージを想像して、選考を行っているんですね! ちなみに、入社後の編集記者の皆さんには、どのようなキャリアがあるのでしょうか?
加藤: 志向も実例も、様々です。ねとらぼの中でやりたいことがある人もいれば、ずっと読者でいてくれた人もいます。スキルを身に付けたい、キャリアアップしたいという考えの人もいますね。
キャリア志向は入社時にもちろん確認しますが、ゆくゆくはマネジメント側に回りたい場合も、編集記者のスペシャリストになりたい場合も、歓迎します。入社後に志向が変わることもあると想定はしています。面談などを通じて上司が伴走するので、ご自身のその時の考えに合わせて、キャリアを形成していただきたいです。
和泉: ねとらぼの編集記者の採用は、多くの場合が契約社員です。ここに対して、「正社員登用はありますか?」と質問をいただきます。登用の道はありますし、実績もあります。ただ、正社員を目指す場合は、いくつか追加で求めたいことがでてきます。
まずは、会社員として、長期にわたり安定してパフォーマンスする心構えがあることです。勤怠の乱れがないことはもちろん、目標設定や評価など、会社の一員として対応が必要なことがあります。また、自身が得意なこと、好きなこと以外にも取り組んで、高いPVを出せる記事を安定して作成できるようであってほしいです。
また、業務内容の変更がない特定正社員を経て、正社員になった場合は部署異動があり得ます。ねとらぼ編集部以外に異動したとしても、その場所で価値発揮できることが必要です。インターネットカルチャーに特化したねとらぼの編集記者に留まらない、ビジネスパーソンとしての素養も見ています。
インターネットのテキストの力を信じ、これからのねとらぼを作る
――正社員として長く働くことも含めて、ねとらぼ編集部にはいろいろなキャリアパスがあるのですね。最後に、ねとらぼで働きたい方に対して、メッセージをお願いします。
和泉: 私たちは、インターネットのテキストの力を信じている人と一緒に働きたいと考えています。今後、インターネットでの情報流通量は、ますます増えていくでしょう。また、その形式も、音声や動画など多岐にわたるはずです。しかし、インターネットのベースはテキストであることに変わりはないからです。
加藤: ねとらぼでやりたいことのアイデアを持っている方に、仲間になってほしいです。今のねとらぼは、これまで関わった多くの人の影響でできています。ねとらぼの理念は変えていませんが、取り上げるテーマの追加など、形式は様々に変わってきています。「変わらないために、変わり続ける」です。ねとらぼで仕事をしたいと思ってくださる方には、これからのねとらぼを作る「中の人」になることに、面白味を感じてほしいです。