自主的な継続が大切! 英語トレーニング講師インタビュー

 アイティメディアが社員向けに提供している研修のひとつに、「英語トレーニング」があります。熱心な受講生が多いこのトレーニングで講師を務める阿部川久広さんに、自らも英語トレーニングを受講した人事部の堀がオンラインインタビューを行い、英語トレーニングのことや英語上達のコツをお話しいただきました。

――まずは、阿部川さんのこれまでのキャリアを教えていただけますか? どうやって英語を習得したのか、気になります!

阿部川: 私は、大学卒業以来ずっと、マーケティングやコンサルティングの分野で、外資系の企業と仕事をしてきました。実は、アイティメディア入社のきっかけも、ある外資系のバーチャルイベントプラットフォームを大槻社長に売り込みに来たことでした。それまでは、 毎日の仕事が全て英語で行われていたので、自然と英語を使うしかなかったし、その努力をずっと続けてきたから英語が身についたんです。

そのため、もともと英語教育の専門家だったわけではないのですが、英語を教える立場としても、複数の大学の非常勤講師や、著書・翻訳書の出版などを経験しています。2020年からは、情報経営イノベーション専門職大学の教授に就任して、世界から信頼を勝ち取るためのコミュニケーション力を身に付けた学生を育てています。

――長年の実践を通して磨かれた英語を教えていただけていたんですね! 改めて、英語トレーニングの内容を振り返っていただいてもいいでしょうか。

阿部川: 英語トレーニングは、1クール10回の講座を、1年に約3回、現在は完全オンラインで実施しています。特色は2つです。

 まず、週に1回、始業前の1時間に講座を設定していること。朝だと頭もクリアですし、余裕がありますからね。参加者には早起きをしてもらうことになりますが、効率よくトレーニングしてもらえるよう、あえて朝に設定しています。

 次に、あくまでも話せる、プレゼンできる、メールが書ける、会議ができるといった、仕事で使える英語を身に付けるためのトレーニングの場であること。授業として私の話を聞くのではなく、参加者全員で「聴いて、読む」ことを繰り返し、英語を声に出す実践的な訓練を積んでいます。

講座は、中・上級コースと初級コースに分かれます。初級コースは1年に1回開講し、英語に苦手意識がある方や、基礎の基礎から勉強し直したい方を対象にしています。中・上級コースは毎クール開講し、TOEIC400点以上の方を対象としています。

――阿部川さんが英語トレーニングで工夫されていることや、アイティメディアでのトレーニングだからこそ取り入れていることはありますか?

阿部川: まずは、問題集の中から、ビジネスシーンを舞台にした問題を取り上げています。そして、スピーキングの機会を多く設けています。たとえば、生徒の皆さんに、自分の仕事や会社について、英語でプレゼンテーションを行ってもらっています。もちろん最初からできるわけではありませんが、できないからこそ課題として取り上げ、向き合ってもらうんです。プレゼンテーションには、他の生徒も聞くだけでなく、必ず質問をするのが決まりです。英語を深く理解できると思える方法を、私の経験から抽出して、提供していますよ。

――すぐに仕事でも活かせそうなほど実践的ですね。阿部川さんから見て、クラスの雰囲気はどのような印象でしょうか?

阿部川: みんなざっくばらんに、和気あいあいとやっています。「実践すること」を大切にしているので、もし誰かが分からなかったり、間違えたりしても、誰も笑いません。英語を学びたい気持ちがある方なら、どなたでも大歓迎です!

――阿部川さんが、和気あいあいとしたクラスの雰囲気を作る上で意識されていることはありますか?

阿部川: 人が能力を一番発揮できる時はリラックスしている時なので、楽しくやるように意識しています。とはいえ、誤解してほしくないのが、「楽しくやる」とは、あくまでも「苦しいけど、一生懸命やって楽しい!」と脳が感じる状態だということです。にぎやかに騒ぐイメージではありません。たとえば、解説中に余談として取り上げた語源の話が、なぜか印象に残って後々まで覚えている、そんな状態を目指しています。他には、あまり私だけが話しすぎないことですね。先生というのは、自分だけが話してしまいがちなのですが、私は生徒同士で話す訓練の時間をたくさん取りたいです。さらにもうひとつ、現場で使える内容を伝えること。自分で使ってみて、「通じた!」となると、楽しいじゃないですか。

――阿部川さんのお話を聞いて、チャレンジしてみたい気持ちになった方も多いのではないかと思います。ここで、阿部川さんがお考えになる、英語を身に付けるコツも教えていただけますか?

阿部川: 3つあります。まずは、繰り返すこと。ここで言う「繰り返す」とは、教材のオウム返しではなく、自分なりに言い換えまで考えて繰り返してみることです。たとえば、違う単語を使ったらどうなるか? 文章を省略するとしたらどこを残すか? と考えるんです。子供は、オウム返しでもなんとなくできるようになってしまいますが、意味を理解せず反復学習をするのは、大人にとっては苦しいですから。

 次に、繰り返しトレーニングは間隔を取って行うこと。これは気が向いた時にやるというのではなく、文章ならいくつかの文を用意して、今日はこれ、明日は別のものというように、同じ教材について間隔を取って勉強することです。インターバルを設けることで、久しぶりに触れたことが刺激になり、脳が活性化して記憶できます。ちなみに、週末にまとめて2時間勉強するよりは、毎日15分でも学習した方が、上達は早いですよ。

 最後に、暗記したからと言って、理解できていると思わないことです。ある文章を繰り返して言えても、そこで表されている概念を理解しているとは限りません。ひとつめのコツにも通じますが、言い換えて自分事として繰り返すことで、自分の中に定着します。

――「自分事にする」というのは、具体的にはどんなことでしょうか?

阿部川: 物事や概念に対する思考を深める時に、具体化と抽象化を繰り返すと思いますが、その全てを自分の言葉として英語で表現できるようにすることです。日常生活では大きすぎる概念を抽象的に言うだけではなく、具体的な事例に当てはめて検討する場面も多く出てくるでしょう。たとえば、「タバコは健康によくない習慣です」「環境を守りましょう」ということに反対する人はいないでしょうが、そう言って明日から誰かの行動を変えるのは難しく、具体的な証拠や提案が必要です。そうした具体的に伝える能力がビジネスの現場では求められます。それは、日本語であれ英語であれ、どんな言語でも同じです。自分の言葉として英語を利用できなければ、意味がありません。

――地道に自分事として訓練する姿勢が、英語の上達につながるのですね。ここで、実際に英語トレーニングを受講した社員の感想を紹介します。

ご回答いただけた方は、皆さん英語トレーニングに満足しておられました。
・始業前にオンラインで英語スキルを伸ばせる
・週1回のトレーニングの機会があることで、英語力を身に付けたり、今の力を維持したりできている
と、英語トレーニングの仕組みを評価する声が複数ありました。

・とにかく阿部川さんの教え方のうまさにしびれた。英語を話す時の頭の使い方、考え方などをしっかり教えてもらうことで身につく度がアップしたと思う
・ポイントが明確でとても分かりやすく教えてくれる。英語からしばらく離れていたが楽しく学べた
と、阿部川さんのトレーニングスキルを評価する声も多かったです。

役立ったこととして、
・数年前より断然、英語の発音がよいと外国人に褒められる機会が増えた
・業務で英文メールをやり取りする中で、英文を読解するコツを教えていただいたことが役立っている
・阿部川さんの英語トレーニング方法を、英語が苦手な中学生の息子にも伝えることができた
・5年ぶりに受けたTOEICで100点以上スコアを伸ばし、900点超えを達成
といった回答がありました。様々な場面で英語トレーニングが生きていることが分かりますね!

一方で、「今後も継続していくことが課題」という声が多数あったことも事実です。こうした方に対してアドバイスはありますか?

阿部川: 皆さん、「継続が課題」と言いますよね。「時間が経つと、どうしても英語から離れてしまう」という声をよく聞きます。ここは考えを逆転させて、自分で機会を作ってほしいですね。たとえば、営業職で、クライアントに外資系企業がいるなら、「本国とのやり取りでお手伝いできることはありませんか?」と自分から聞いてしまう。自分から機会を取りに行くんです。もしうまくいったら、クライアントからの信頼が増して、チャンスも増えます。とにかく、自分のやりたいことは自分でコントロールすることが大切です。受け身では機会は回ってきませんよ。

――自分で機会を作ることが大切なんですね! 最後に、このインタビューをご覧になっている方へ、メッセージをお願いいたします!

阿部川: まずは社内の英語トレーニング受講者の方へ。英語トレーニングは、あくまでもトレーニングの場です。座学で教養を身に付ける講座ではありません。ぜひトレーニングの心構えで、アウトプットをたくさんするぞ! というつもりで来てくださいね。

 そして、社内外を問わず英語学習者の方へ。よく、「リーディングはできるけれどスピーキングが苦手です」という話がありますが、これは認識の間違いです。難しさの度合いは、難易度が高い方から順に、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングです。前の2つは、相手が知っている語彙や概念を使って表現されたことを理解しなければならないので、それだけ難しいことです。それに比べてライティングやスピーキングは自分の中にあるものを外に出すだけです。スピーキングができないのは、知識がまだ足りないとか、自分は英語が下手だとかいう気持ちにとらわれているだけで、少し補えばすぐできるようになります。自分がアウトプットできないものを人から聞いても理解できないので、まずはアウトプットの練習をたくさんしましょう!

――ありがとうございました!英語だけでなく、生き方にも通じるお話をうかがえて、やる気が出てきました!

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阿部川久広
iU: 情報経営イノベーション専門職大学教授
元アイティメディア株式会社グローバルビジネス推進担当シニアヴァイスプレジデント スタートアップコンサルタント
投資家、作家、翻訳家、ライター、インタビューアー

1960年生まれ。コンサルタントを経て世界的精密機器メーカー入社。PR課長、マーケティング部長を歴任し、新しいマーケティング手法を数多く展開。その後世界的IPを活用した外資系ソフトウェア開発企業にて、マーケティングを担当。2000年にはインターネット関連企業社長としてソフトウエアの新プロモーション手法を日本に初めて紹介。
マネージメント、コミュニケーションやプレゼンテーションのプロフェッショナルとして、世界的外資系企業において数多くのプロジェクトで活躍。現在は情報経営イノベーション専門職大学グローバルコミュニケーション領域教授兼領域長、グローバルセンター長として同校のグローバル戦略全般を統括する。またライター、インタビューアーとして「Go AbekawaのGo Global」なども担当。

大学在学時より通訳、翻訳を通じて多くの英語関連業務を行う。1995年より2年間はCNNニュースキャスターを務める。神戸大学経営学部、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、翻訳専門校フェローアカデミー講師、NHK文化センター講師などのほか、多くの企業で英語力ブラッシュアップのためのトレーナーも務め、効果的なプレゼンテーションやビジネスコミュニケーションに関する執筆、講座、講演も多い。また作家、翻訳家としても活躍している。