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家族と幸せに暮らすために必要な「家庭以外」の居場所

 アイティメディアでは、社員の志向や強みを活かしてイキイキ働けるよう、一定の等級からキャリアパスを選択制にしています。具体的には、組織長として組織の業績を最大化する「組織価値コース」と、個人の高い専門性で組織に貢献する「個人価値コース」の2つです。どちらのコースも価値発揮レベルが等しければ、等級や報酬のレンジは同じです。

 しかし、「組織価値コース」いわゆる管理職に抵抗がある方は多いのではないでしょうか。特に女性は「ライフイベントを経ても管理職として働けるイメージが持てない」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、出産、育児休業を経験し、管理職を志向している、プロフェッショナル・メディア事業本部 メディア事業局 LGプロダクト部 斎藤未来のインタビューお届けします。聞き手は、人事部 採用チームの木幡麻衣です。

【プロフェッショナル・メディア事業本部 メディア事業局 LGプロダクト部 エキスパート 斎藤 未来】
2010年に新卒でアイティメディアへ入社。大手顧客を担当する営業職を約4年経験した後、人事部へ異動。採用担当として新卒・中途採用を約2年牽引した後、再び営業職に従事。家族のサポートのための休職や育児休業を経て、現在はリードジェンビジネスにおける企画職として活躍。
※所属部署や業務内容はインタビュー当時(2022年7月時点)のものです

――まず初めに、斎藤さんの現在の仕事内容を教えてください。

斎藤: LGプロダクト部に所属し、IT領域におけるリードジェン商品の販促や、予算達成のための営業サポート、商品の企画開発をミッションとしています。

――斎藤さんはこれまでに営業職と人事職も経験されています。それぞれのキャリアで得たものは何でしょうか?

斎藤: 営業職では、大手から中堅、新規までさまざまなお客様を担当させていただきました。担当の方とのやりとりを重ねるなかで最初に気づいたのは、お客様にとって営業個人のキャリアは関係ないのだということです。お客様は目の前にいる営業担当に、自社の課題を打ち明け、信頼して予算を任せてくださっているんですよね。担当者である以上、自分に経験が無いことは言い訳にならなくて、目の前の問題に対して真摯に対応していく責任があるということをお客様から教えていただきました。

 もちろん1、2年目のころは分からないことだらけなので、社内のさまざまな方にお力を借りながら解決プランを実行していくのも大切な経験でした。

 人事部に異動をして学んだことは、会社には全社視点でのストーリーがあるということです。現場で仕事をしていると、「なんで会社はこのようなメッセージを出すんだろう?どうしてこの研修を受けさせるんだろう?」と、生意気にも煩わしく受け取ってしまうこともあったのですが……(笑)。人事として経営層に近い立場で仕事をすることで、会社は長期的な視点で、未来における各社員のストーリーも持ってくれているんだなということに気づけましたね。

――その後、ご家族のサポートのために1年間休職をされました。その選択の背景や思いをお聞きできますか?

斎藤: 休職を決めたのは、私が営業職として充実していて、時間的にもかなり仕事にコミットしていた時期でした。そのときちょうど夫に、これまで以上に多忙になるタイミングが訪れたんです。「今、夫のサポートを全力でしないと、将来後悔してしまうのではないか」と考えるようになりました。

 退職せざるを得ないかもしれないと悩みましたが、大槻さん(社長)や当時の上長に相談するなかで、休職という選択肢をいただくことができたのは本当にありがたかったです。自分の人生において、とても大きな1年間になりました。

――それから企画職として復帰されたあと、今度はご出産、育児休業を経て復職されました。復職の際に不安はありましたか?

斎藤: 家族のサポートを経て職場に戻ったとき、家庭での役割を持ちつつ、それとは別の役割を会社で持っている方が自分には合っているなと分かりました。ですから、出産・育児を経ての復職に際しても精神的な不安はなかったですね。

 以前大槻さんとお話したときに「家族や他人に対してコミットしすぎると見返りを求めてしまう。自分の軸足は自分で持っていたほうがいい」という意味の言葉をいただいたことがありました。確かにそうだなと感じます。献身的に行動すればするほど「こんなに一生懸命やっているのに、どうしてこうなってくれないの?」と……私はつい考えてしまいそうなのですが(笑)、それは相手にとって重荷すぎますよね。自分の場所は家庭の外にもあったほうが、いい意味で家族に期待しすぎなくて良さそうだなと思っています。その方が家族にとってもちょうどいい距離感で接することができるんです。

 もちろんこれは個人の価値観によるもので、家族と多くの時間を過ごすほうが充実した人生を過ごすことができることもありますよね。それぞれの価値観に沿った選択が何かを考えることが肝心なのではないでしょうか。

――復職後、1日のスケジュールはどのようになりましたか?

斎藤: 私はフルタイム勤務なのですが、フレックスタイム制度とリモートワークを活用して、家庭とのバランスを取りやすい働き方をしています。

 朝、子どもを保育園に送って9時頃から仕事を始めます。18時前には夫が子どもを保育園に迎えに行くので、いったん仕事を切り上げます。そこから食事、入浴、遊びなど怒涛の育児タイムで(笑)、寝かしつけが終わったあと、週に2、3日は1~2時間仕事をしますね。この時間帯は問い合わせ対応も少ないので、じっくり考える仕事に合っているんです。自分のペースで仕事ができるこの時間も、生活のなかで大切なんですよ。

――育児と仕事の両立において、意識していることはありますか?

斎藤: 育児と仕事はよく「両立」というキーワードで語られることが多いですが、個人的にはあまり考えないようにしています。「両立」というとどちらもきちんとやらないといけないようですが、私にはそれは無理なので……。仕事中、育児中、そのときどきで目の前にあるやるべきことをやるだけ。「育児と仕事、どっちもやっているだけ」と考えるようにしていますね。

――子育てしながら働く環境として、アイティメディアの良い点を挙げるとすると何でしょうか?

斎藤: 最もありがたいのは、リモートワークに対して物理的、心理的障壁がないことです。育児をしているかどうかはもちろん関係なく、みなさん当たり前のようにリモートワークをしているので、とてもやりやすいです。制度として整っていても、全社的に運用されていない状態では活用するのに周囲の目が気になってしまいそうですよね。

 個人的にはみんなで顔を合わせて仕事をするのも好きなので、リモートワークによって失ったものもあると感じています。ですが、出社前提だと体力的に厳しいですし、始業も終業も自分のペースで決めやすいので、育児中の身にはメリットの方が大きいですね。

 仕事は雑談の中で生まれることも多いですが、リモートワーク下で雑談もチャットになったので、そのログが残っているんです。だから、自分が退勤した後のチームの雑談も確認できます。業務に関することも、チームの雰囲気的なことも、テキストコミュニケーションによってキャッチアップできるので、疎外感が無いのも重要なことですよね。

――では次に、今後のキャリアについて聞かせてください。アイティメディアにはキャリアパスとして組織価値コースと個人価値コースがあります。斎藤さんはそれぞれのキャリアパスにどのようなイメージを持っていますか?

斎藤: どちらもまだ経験していないので、あくまでもイメージですが、組織価値コースの管理職も、個人価値コースのスペシャリストも、メンバーに対して自身の仕事を通じて価値を提供するところは同じだと考えています。管理職はチームメンバーの背中を押す、スペシャリストは自らの背中で語る、というイメージですね。

 私は管理職を目指してキャリア形成していこうと考えています。10年以上アイティメディアで働いていて、本当に尊敬できる同僚が多いんです。ごまかしをせずに真摯に仕事に取り組んでいるメンバーばかりなので、みなさんがより働きやすい環境や、力を発揮しやすい方法を考え、サポートしていくことに関心があります。

――時間的負荷が心配で管理職を避ける方もいると思います。その点、斎藤さんはどう考えていますか?

斎藤: 私も、家族と過ごす時間を大事にしたいので、それを削って仕事をして管理職を目指すのは自分の価値観に合わないと思っています。仕事も育児も一過性のものではなく、人生において長く続いていくことが前提なので、単発的にどちらかが忙しくなることがあったとしても、長期間に渡って偏る状態は避けたいですね。

 ただ本当に避けるべきは、「管理職になると時間的負荷が増えることが絶対」という環境だと考えています。どうすれば時間あたりのパフォーマンスを最大化できるのか、無駄な仕事を減らせるのか考えて、時間的な制約が選択肢の制約につながらないようにしたいですね。

――育児をしながら管理職を目指す中で、ご自身の変化や気づきはありましたか?

斎藤: 自分はこれまでとても想像力に欠けていたんだと痛感しました。メンバー一人一人に職場では見せない顔があり、仕事以外にも大事なものがあるはずなんですよね。100%仕事に集中できない日もあるかもしれない。20代の頃は仕事に全力投球するのが当然だとどこかで思っていたので、その延長線上で管理職になっていたら、メンバーにもそれを求めてしまっていたかもしれません。もちろん、育児を経験しないとそのような想像ができないということではありませんが、私の場合は、育児と仕事どちらもやることで自分の想像力が広がりました。

 各自の事情は全てオープンにすることが正解ではないですし、あえて言葉に出さなくてもいいはずです。ですが、しかるべきときには「今大変です!」と声をあげて、お互い助けを求め合えるようにしたいですね。そして、普段はお互いの事情を想像することで尊重したいです。

 アイティメディアは経営層・管理職層に女性が少ないですが、さまざまな立場、人が集まることで、お互いの事情を尊重する想像力がもっと補完できるのではないでしょうか。現在の当社においてはマイノリティである、「女性で子育て中の管理職」を自分が目指すことで、多様性の確保という点で会社に貢献できるといいなと思っています。

――最後に、今後のキャリアをどうしていこうか考えたり悩んだりしている方へ向けてメッセージをお願いします。

斎藤: 私は将棋を指したり見たりするのが趣味なのですが、通っていた将棋教室で言われた、とても印象的な言葉があります。それは「指した手が最善手」というものです。将棋の世界には「待った」は無いので、一手指したら進むしかありません。

 人生や仕事においても同じことが言えそうです。転職や結婚、出産……。どれも自分の選択で、一度選択するということは他の選択肢を捨てるということですよね。「この選択が正しかったのか?」と不安になることは私ももちろんありますが、選んだところから始まる分岐を自分にとって最善にしていく努力が重要なんじゃないかな、と思っています。

 今の状況は自分が選んだものであって、誰かに押し付けられたものではないはず。そして分岐点では、その時の自分が最善の道を選んでくれているはずなので、他人に責任を押し付けずに、自分の選んだ道をよりよくしていく方に集中していきたいですね……と、人様にメッセージを伝えられるような立場ではないので、自戒を込めて、自分に言い聞かせていきます!(笑)