\ アイティメディアの想いを伝える採用サイト /

AI活用の今が分かる新メディア 編集長が語る「ITmedia AI+」

 アイティメディアは、2024年3月4日、国内最大級のAI専門情報サイト「ITmedia AI+」を開設しました。

 生成AIを含めたAIは、現在最も注目を集めるテクノロジートピックのひとつです。これまでもビジネス領域のテクノロジーについて情報発信してきたアイティメディアは、「ITmedia AI+」を通して、いかに企業が生成AIを活用してイノベーションを実現していくのか、活用の事例と活用を妨げる課題の解決につながる情報を集約して伝えていきます(※)。
※アイティメディアが運営するビジネス領域のテクノロジーメディアには、ビジネスパーソン向けのIT関連情報を伝える「ITmedia NEWS」、テクノロジーに関連した企業ビジネスの最新動向、先進事例を伝える「ITmedia ビジネスオンライン」があります

 この記事では、創業25年目の新しい挑戦として生まれたITmedia AI+の特徴を編集長からのメッセージでお伝えするとともに、より詳しく聞きたい部分を編集長に直接インタビューすることで、メディアビジネスの最前線をお伝えします。

AIを活用するビジネスリーダーのための「ITmedia AI+」

 AIで業務やビジネススキームをより良く変えていきたい、そういう人が参考にできる情報を発信しよう──そう考えて作ったのがAI専門メディア「ITmedia AI+」です。

 いまは生成AIが特に脚光を浴びていますが、囲碁棋士のトッププロを破った「AlphaGo」(2015~2017年)や、写真をアップするだけで虫の名前を調べてくれる「虫判定器」(2012年)など、特定分野においてAIは以前から人間を超えるパフォーマンスを発揮しており、私(井上輝一、ITmedia AI+編集長)はAIの可能性にずっとワクワクしてきました。

 そんな中出てきた生成AI。あるいは生成という出力にこだわらなければ「基盤モデル」という言い方をした方がいいかもしれません。これらは従来のスゴいAIでも成し得ないようなパフォーマンスを見せています。そんなAIに期待をかけない方が無理というもの。

 しかし一方で、具体的に業務のどこにAIを適用するべきなのか、という問題についてはAIが魔法のように解決してくれるものではありません。なぜならAIは道具であり、意思を持つ主体ではないからです。道具を使う主体は常に人間であり、人間が解決する必要があります。

 ITmedia AI+はそんな、“問題解決にAI活用を検討しているビジネスリーダー”に向け、具体的にはこんな情報をお届けします。
・他社での社内活用事例や製品への適用事例、そのキーパーソンへのインタビュー
・導入に当たっての組織文化の醸成
・AIを活用する上での基本的なリテラシー、情報漏えい対策
・法的な規制にとどまらず、活用の上での倫理的な懸念に対する考え方
・生成AIの先端で何が起きているかといったテクノロジートレンド

 また、情報をお届けする上で心がけているのが「ギークにならないこと」。この分野は専門的な用語や技術も多く、正しく理解するためにはどうしても深く立ち入らざるを得ない部分もあります。しかし、多くの方にとって役立つ形で発信する上では、これをなんとかうまく噛み砕かなければいけません。

 もっとも、これは私が編集長を兼任するITの総合ニュースサイト「ITmedia NEWS」においても同じことではありますが、特にAI分野においては重要だと考えています。情報の流通をタコツボ化せず、よりAI活用の裾野が広がっていくような情報発信をこれからも心がけていきます。

 さて、この紹介文を書く上で課されたお題は「1000文字以上で書いて」とのことだったのですが、書いてみたところ骨子は800文字程度。なので肉付けをAIに提案させて、それで補ってみました。これも生成AIの活用方法の一つですよね。AIがどの部分を提案したか分かりましたか?(寄稿ここまで)

AIは人間の価値を高めることを伝えたい 編集長インタビュー

 ここからは、井上へのインタビューを通して、新メディアへの抱負や展望を伝えます。聞き手は、管理本部 人事統括部 HRリクルート&サポート部の橋口聖です。

――「ITmedia AI+」について、いろいろうかがっていきたいと思います。まず、井上さんご自身のことを教えてください!

井上: 私は2016年にアイティメディアに入社し、編集記者の立場で記事作成に携わってきました。2022年からは、ITmedia NEWSの編集部長として、メディア全体の運営や、メンバーのマネジメントも行っています。

 当初は「ITmedia Mobile」などを運営する部門にいたのですが、ITmedia NEWSでも、次第に執筆や編集を行うようになりました。だんだんITmedia NEWS編集部の業務量が増えて、今に至ります。

 ITmedia NEWS編集部では「難しい話担当」と言われることもありました。なぜかというと、私は数少ない理系出身の編集記者として、量子コンピュータやブロックチェーンなど、技術的な背景の説明が必要な話題を担当することが多かったんです。アイティメディア入社前に理系の大学院に在籍していたことや、プログラミングや囲碁のような、テクノロジーと関係の深い趣味を複数持っていることが、記事制作をはじめとする当社の業務に役立っている気がします。

アイティメディアだからこそのAI専門メディアを作る

――ご自身の得意分野を生かしての新メディア開設だったんですね! 開設するまでの経緯についても教えてください。

井上: もともとは「ITmedia NEWS」に、「AI+」というコーナーがあったんです。ITmedia NEWSで取り上げたAI関連の記事を集めたコーナーという位置づけでした。

 その後、2022年の夏ごろに画像生成AI、2023年にはChatGPT-4が登場し、生成AIブームが起きました。ブームを受けて、長年テクノロジー領域の情報を発信してきた当社としても、生成AIを含めたAIの情報発信に注力するべきという方針になりました。そこで、「AI+」を含めた「ITmedia NEWS」を編集長として運営している私が、具体的な方法の相談を受けました。

 私は、AI分野の技術・市場動向をはじめとする各種情報を網羅的に伝える新メディアを提案しました。現在、ITの情報を求める読者の収集手段の一つとして、アイティメディアの各種メディアはご愛顧いただいております。同じように、AIについて知りたいときも、信頼性の高いアイティメディアが運営しているあのメディアを読もうと想起される媒体を作るべきだと考えたんです。また、現在注目を集めているAIの専門メディアを開設することは、当社の「メディアの革新を通じて、情報革命を実現し、社会に貢献する」という経営理念の実現にもつながるのではないか、という話もしました。

 しかし、当時の提案はあくまで理想論。その上で現実的に始められつつ価値発揮できる落とし所はどこか、と上長などと議論を重ねた結果、現在のITmedia AI+の形に落ち着きました。

――ITmedia AI+の取り組みは、経営理念にもつながっているんですね。井上さんご自身として、開設に向けて何か考えていたことはありますか?

井上: まず個人的な部分では、大きい目標を掲げた方が、私自身も楽しいだろうと思いました。もし、私がフリーになって、同じようなメディアを作ろうとしたら、非常に大きなリスクを背負うことになりますよね。しかし今はアイティメディアという会社の中でチャレンジをさせてもらえるので、リスクは小さいわけです。それなら、せっかくだから大きなチャレンジをしてみようと決心しました。

 また、会社の一員としてチャレンジする以上は、会社の利益にも貢献しなければなりません。そのためにどうあるべきかと考え、ソフトバンクグループでよく言われる「ナンバーワン」になることを目標にしました。競合の中でナンバーワンであれば、クライアントの出稿も集中して、大きな利益を生み出せるからです。

社内の関係各所と連携し、新メディアを素早く開設

――実際にメディアを開設する中で、印象に残っていることはありますか?

井上: 当初は、ITmedia NEWSの1コーナ―だったAI+のURLを変更する程度だろうと思っていて、あまり負荷なく進められるだろうと楽観的に考えていました。しかし、既存の掲載記事について新メディアへの移行を考えていたわけではなかったため、そうした記事をAI+の誌面から探せるようにする整理の仕組みなどを改めて作ることになりました。そこは、想定していたより大きな工数がかかりましたね。

 社内の関係者との調整も必要でした。メディアには、編集部だけではなく、広告商品部門、営業、エンジニアなど多くの人たちが関わっています。関係者それぞれと調整し、自分がお願いしたいことだけではなく、相手からの質問や要望にも応えていくのは、必要なことではありますが大変でした。とはいえ、Webメディアに関わるさまざまな分野のプロフェッショナルと連携して、ひとつのメディアを素早く開設できたのは、創業25年目の老舗Webメディア企業ならではの強みだと感じました。

注目度に見合う情報の充実を目指す

――井上さんの他にも、「ITmedia AI+」の記事作成に携わっている社員はいるのでしょうか?

井上: はい、「ITmedia NEWS」編集部から1名、「ITmedia AI+」の記事の主担当になっている編集記者がいます。その他の「ITmedia NEWS」編集メンバーも、折に触れてAI+で記事を掲出しています。

――新しいメディアの立ち上げ期ということで、編集記者の皆さんも、普段とは違う手ごたえがあったりしますか?

井上: 正直なところ、記事の書き方などが変わるわけではないので、各自の作業だけに限れば、従来とあまり変わるところはないかもしれません。

 ただ、ITmedia AI+を開設して、一番強く感じているのが、クライアント企業からの引き合いがとても強いことです。ITmedia NEWSのビジネスモデルは、ビジネスパーソン向けのIT情報を発信し、クライアントの製品売上につなげる形式なので、広告運用部門と一緒に様々な施策を展開してきました。その中でもITmedia AI+は、群を抜いて注目度が高いです。ビジネスモデルに編集部が関与するのは、うちの編集部の特徴かもしれません。部員も、「ITmedia AI+」の引き合いが強いことを喜んでくれて、情報を一層充実させたいと思ってくれているのではないでしょうか。

AIは人間と共存するもの

――2024年3月のメディアオープンから、4カ月が経ちました。今後やっていきたいことは何でしょうか?

井上: まずは、編集部の業務に生成AIをもっと活用したいです。AIの情報を発信する立場として、自分たちが率先して生成AIを業務に取り入れるべきだと考えています。まだまだ試行錯誤している段階ですが、引き続き業務効率の向上に取り組んでいきます。

 また、メディアとしての知名度向上にも取り組みたいです。アイティメディアという名前の知名度は高くても、「ITmedia AI+」というメディア単体の知名度は、これから向上させていく段階です。AI分野のさまざまな話題を伝える記事を増やして、多くの人に知られるメディアに育てていきたいです。

――自ら業務に生成AIを活用するなど、多様な切り口の発信、私も楽しみにしています! 井上さんとして、「ITmedia AI+」を通して発信していきたいことはありますか?

井上: 「ITmedia AI+」で大切にしたいと思っていることは、AIは人間に貢献して、人間の価値を高めるものという視点です。AIに関する発信には、人間がAIに仕事を奪われるなど、マイナスイメージのものもあります。しかし、私は、人間がAIを使いこなすことで、自身の価値をさらに高め、よりよい成果を出せるのではないかと考えています。

 たとえば、メールの文面を作成するのでも、生成AIに指示してより丁寧な表現にすることができたら、送信先とのコミュニケーションがより円滑になるかもしれません。その結果、アポイントの機会が増えて、自分の業績やスキルが高まることも、ありえるのではないでしょうか。

 AIは人間と共存するもので、敵対するものではありません。AIを利用することで、より面白いものを生み出し、できなかったことを実現可能にして、自分が生み出せる価値をより高められるということは、今後も伝えていきたいですね。