アイティメディアは名前の通り、ITとその周辺領域を中心としたWebメディアを運営している会社です。
現在展開しているメディアは、IT関係の最新情報を扱う「ITmedia NEWS」、スマートフォンをはじめとしたデジタル・ガジェット情報に特化した「ITmedia Mobile」、企業ビジネスの最新動向を扱う「ITmedia ビジネスオンライン」、エレクトロニクス分野の専門情報媒体である「EE Times Japan」、コンシューマー向けにネットの最新情報を伝える「ねとらぼ」など、約30媒体。基本的にはどの媒体も無料で読めるようになっています。
しかし、取材して記事を書き、サイトを運営していくためにはお金も必要です。メディアとして読者に安定した情報提供を行うためには、「企業としてしっかりお金を稼ぐ」ことも重要です。読者が無料で記事を読めるなら、どこからお金を得ているのか。
今回は、アイティメディアがどんな形でビジネスを行っているのかを詳しくお話したいと思います。
アイティメディアのビジネスは「広告」「リードジェネレーション(LG)」「デジタルイベント(DE)」という3つの柱で成り立っています。いずれも「各メディアの読者」と「製品・サービスを広めたい企業(クライアント)」を結びつけるものですが、目的や得意なことが異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう!
「たくさんの人に知って欲しい」をかなえる「広告」
Webメディアが収益を上げる方法として、よく知られているのが「広告」です。クライアントからお金をもらい、クライアントの製品・サービスに興味関心がありそうな読者のいる媒体に情報を掲載して、認知や販促につなげる。これが基本的な広告のビジネスモデルです。
クライアントがメディアに出稿するのは、ターゲットに効率よく訴求するため。例えばビジネススーツの広告を出すなら、学生の読者が多いメディアよりも「毎日スーツを着て仕事をするビジネスパーソン」が読んでくれているメディアに掲載した方が効果的ですよね。そこで重要になるのが「どの媒体のどんな広告商品を使うか」です。
ひと口に「IT領域の専門メディア」といっても、媒体ごとに扱う話題も違えば、読者の属性や興味関心も異なります。広くたくさんの人にサービスを知ってほしいなら網羅的で速報性のあるメディアに、企業に自社の製品を売り込むなら、製品導入の決定権を持つ人が多く集まるメディアに……といったように、クライアントは目的に合った媒体を選ぶことで、より効果的な広告を出すことができます。
メディア選びと同様に広告商品も、バナー広告など「人目に付くところに掲載してたくさんの人に見てもらいたい」のか、ターゲティングメールのように「製品に興味を持ってくれそうな人を選んで情報を送りたい」のか、目的に合わせて選ぶのが重要です。
「こんな人にアプローチしたい」をかなえる「リードジェネレーション」
2つ目の収入の柱は「リードジェネレーション」です。リードジェネレーションとは、顕在層や見込み顧客を獲得するための活動のこと。広告が「たくさんの人に商品を広めたい」「まずはサービスの存在を知ってほしい」といった目的で使われるのに対し、リードジェネレーションは「製品・サービスの導入につなげたい」「もっと詳しく知ってほしい」といった目的で使われることが多くなっています。
アイティメディアでは、「TechTargetジャパン」や「ITmedia エンタープライズ」といった会員制メディアやアンケートなどを活用し、クライアントのニーズに合わせて読者の属性情報を提供しています。(※もちろん会員情報については、会員の同意を得た上で提供していますのでご安心ください)
「人を集めて意欲を高めたい」をかなえる「デジタルイベント」
3つ目の柱は「デジタルイベント」です。デジタルイベントは、見込み顧客の購入意欲・導入意欲を育てる(リードナーチャリング)ためにオンラインで実施している展示会やイベント、Webセミナー(ウェビナー)などの総称。コロナ禍でリアルイベントの開催が難しい時期には、場所にとらわれない“新しい商談様式”としても注目を集めました。
例えばアイティメディアのBtoBメディアが主催するオンライン展示会では、クライアントは協賛企業としてブースを設置したり、動画や資料を掲載したり、参加者の属性・行動データを獲得したりすることができるようになっています。
内容や規模感を柔軟にカスタマイズできるので、「他の企業と協賛して特定業界向けのイベントを開催したい」「リアルとオンラインを組み合わせたプロモーションを実施したい」といったクライアントの要望をかなえるのにも向いています。
ビジネスの多角化が経営を安定させる
ビジネスモデルを増やし事業を多角化することには、大きなメリットが2つあります。ひとつは経営を安定させられること。10年ほど前までアイティメディアの柱は広告事業しかなく、景気や検索アルゴリズムなど広告を取り巻く環境に経営が左右されてしまうことも少なくありませんでした。しかし、近年はリードジェネレーションやデジタルイベントを成長させることで、特定の領域ややり方に依存することなく、バランスの取れた経営ができるようになっています。
もうひとつは、クライアントのニーズに応えやすくなること。あるメディアに広告を掲載するだけでは解決できなかった課題も、複数の媒体や商品を組み合わせることで解決できることが多々あります。
どのビジネスモデルにもいえることですが、当社が運営しているメディアは「こんな情報が知りたい」「こんな課題を解決したい」といった読者のニーズに応えるものであると同時に、読者の潜在的・顕在的ニーズに合った製品・サービスを提供するクライアントが出合う場所にもなっています。メディアをしっかりと運営していくのはもちろん、新しい商品やビジネスを開拓していくことが、両者の出合いを多様化することにつながっています。
とはいえ、こうしたビジネスが成立するのは、「ここを見れば自分の知りたいことが分かる」「このメディアの情報は信じられる」という、読者の信頼があればこそ。ですから、各メディアの編集部には、「読者ファースト」の姿勢を崩さず、信頼性の高いコンテンツを継続的に提供していくことが求められます。
(参考:「広告で稼ぐ」と「読者のための記事を書く」は両立できるのか?)
そこで当社では記事を企画・制作する編集記者と、クライアントの課題解決をサポートして商品を受注する営業を別の事業部に分け、役割分担する形で業務を行っています。加えてWebサイトやアプリを開発・運営するエンジニアや、新しい商品を考案する企画、会社そのものを支える管理部門など、さまざまな職種が支え合うことで、企業として継続的にメディアを運営することができるのです。
読者に必要とされるメディアを運営していくことと、一企業として稼いでいくこと。そのどちらもがアイティメディアには必要不可欠。アイティメディアを志望する人は、ぜひここを押さえたうえで、自分はどんな仕事をしたいか、どんな形でWebメディアと関わりたいか、改めて考えてみてください。あなたのやりたい仕事が、より具体的に見えてくるかもしれません。