アイティメディアでは、現在「障害者採用」を推進しています。多様性を重視し、その上でお互いを認め合うという世の中の流れに合わせるだけでなく、自らそれを進めていきたいと考えているからです。
もともと当社は、社員それぞれが自分に合った多様な価値発揮をすることが望ましいと考え、人事制度もその前提に立って設計しています(※1)。そんな当社にとっての多様な社員を受け入れ、認め合う施策のひとつが、障害者採用です。
(※1)社員一人一人の価値発揮を最大化するための人事制度については、「アイティメディアの人事の仕組み ―第1回:人事ポリシーと人事制度―」をご覧ください
実は、筆者は障害者採用で人事部に入社し、先日2年目を迎えました。今回は障害者から見たアイティメディアの障害者採用について、人事部採用チーム長である木幡へのインタビューも交えてお届けいたします。
まずは筆者の実感した、入社前のイメージと入社後の実態の違いについて書きます。
入社前は、過去に在籍していた会社での経験もあり、「決まった仕事を与えられるだけかな?」「もし、あまり理解のない社員がいたら差別されるかも……」と思っていました。結論から言うと、このイメージは全く当たっていませんでした。
当社では、自分が望めば、どんどん実力に見合った仕事をアサインしてもらえます。私の場合は、前職で経験のあったデータ作成や定型的なメールのやり取りから始めました。今では、自分で考えながらの資料作成なども担当しています。また、採用広報のSNSアカウント運営など、やってみたいと思っていた業務にも挑戦しました。当然、研修への参加や上長との1on1のような、さまざまな成長機会も一般の社員と変わらず提供されています。
これらは、「自分が望めば」というのもポイントであると感じます。自分の体調や業務の状況に合わせて、上司や先輩と相談する機会が常にあり、難しいと感じた場合は分担方法なども相談することができるからです。
また、「差別されるのでは……?」という心配でしたが、そのようなことは一切ありませんでした。業務上、たくさんの部署の社員とメールで連絡していますが、筆者にだけということではなく、普段から丁寧なコミュニケーションが行える人たちなので、安心してやり取りができると感じています。もともと記事を書くのが仕事のメディア企業ということもあり、メールやチャットといったテキストでのコミュニケーションがメインで、対面でのコミュニケーションが苦手な私でもなじみやすいです。
次は、筆者の直属の上司であり、障害者採用の推進役でもある採用チーム長・木幡へのインタビューを通して、気になるアイティメディアの障害者採用の実態を探ります。
できることでご活躍いただけるよう対話を重ねていきたい
――人事部は障害者雇用を推進していく立場ですが、どんなことに気を付けていますか?
木幡: 当社はもともと、社員の自由度が高く、それぞれの自律や自主性に任せている部分が大きい会社です。だから、こちらから過剰に介入してしまうと、後々の周囲との関係性も考えれば、かえって障害を持つ社員を働きにくくするのではないか? と感じています。
そのため、障害特性上できないことに適切な配慮を行うのは当然として、ご自身が持っている能力を活かし、できることでイキイキと働ける環境を整えられたらいいと思っています。
具体的な配慮を挙げるとすれば、体調に合わせた勤務時間の短縮や、在宅勤務の許可ですね。在宅勤務は、以前から人事制度の改革として計画していたところ、新型コロナウィルスの影響で前倒しすることで全社的なものになりましたが、その前から障害を持つ社員に限らず、事情のある社員には認めていました。
――障害を持っている人にも、多様なパーソナリティがあります。どんな人と一緒に働きたいと考えていますか?
木幡: 自分の障害特性を客観的に理解し、受け止められている人ですね。
適切な配慮のためには、まずはご自身で「何ができないか」そして「どう配慮すれば問題が解決するか」ということを、わかりやすく説明していただく必要があります。その前提として、自らの障害を受容していることが大切だとも考えています。
もちろん、自分のできることで会社に貢献しようと思っていただいていることも重要な点です。
それを前提として、できないことについても、最初から率直に伝えていただければ、後々の定着を考えるとよい結果につながるのではないでしょうか。
――木幡さんが初めて一緒に働いた障害のある社員が、実は私だと聞いているのですが、正直なところどんな感じですか?
木幡: まず、採用した時の想定から大きなギャップはないので、安心してください(笑)。これは、採用プロセスの中で3日間の実習に参加してもらっていたので、性格やスキルのレベルをある程度分かっていたことが大きいですね。手順が決まっている業務をしっかりこなしてくれるのはもちろん、アイデア出しのような答えのない業務にも積極的に取り組んでくれていて、助かっていますよ!
一緒に働いてみての実感としては、悩んでいるところがあるとすぐに相談してくれる面はフォローする上でとても助かっています。まだ困らせてしまうこともあるのかな? と感じていますが、お互いコミュニケーションを取りながら解決していけたらうれしいですね。
――お褒めいただきありがとうございます(笑)。困っていることと言えば、以前「障害を持っているゆえの困りごとが、数字で結果が出る評価・報酬制度の中でどう扱われるか心配」と相談したことがありました。改めてお考えを聞かせていただけますか?
木幡: 確かに、障害があるからと言って、できないところもやみくもに加点するわけではありません。評価を上げていきたいなら、何らかの方法でできないところもカバーする必要があります。
とはいえ、主体的業務スタンスも評価する3I(※2)という制度があるので、必ずしも自分が手を動かすことだけで目標を全て達成しきる必要はないんです。目標に向けて周囲を巻き込み、苦手をカバーする方法を考えるのも評価のうち、ですよ!
(※2)アイティメディアで人事評価を行う際の独自指標。見立て(Insight)、巻き込み(Integration)、仕立て(Innovation)の3つに分けて質に着目した評価を行い、等級ごとに5段階で評点が付けられる。詳しくは「アイティメディアの人事の仕組み ―第2回:『人材育成』の仕組み―」をご確認ください。
――そうでした。私は優先順位付けや決まりのないコミュニケーションが苦手ですが、木幡さんや他のメンバーの力を借りてその部分を補い、業務をやり切ることも、ひとつの成果として評価していただいています。
――最後に、アイティメディアが障害者採用を進めていくうえで、これからの課題は何だと思いますか?
木幡: 今のところ、どうしても一部署に複数名の障害者を採用することが難しい状況なので、近くに同じ境遇の人がいない辛さはきっとあるんじゃないかなと思います……。会社として障害のある方の受け入れ経験が豊富というわけではないので、個人と対話しながら、その都度調整していく感じにはなってしまいますね。
それでも、ご縁のあった方に誠実に対応することで、私たちの側もナレッジを蓄積していこうと考えています。
――ありがとうございました!
違いを受け入れながら一緒に成果を出す会社
私の実感としても、アイティメディアに入社して、何も戸惑わずに仕事ができたわけではありませんでした。たとえば、自分のキャパシティの見積もりがうまくいかず、業務量を調整できなかったときもあります……。それでも、チーム長をはじめとする人事部メンバーが、その都度しっかり対話してくれて、解決策を一緒に考えてくれました。
このような、それぞれの背景や個性を尊重して、違いを受け入れながら一緒に成果を出していこうという姿勢は、部内だけでなく、アイティメディア全体にあると感じています。障害を持っている社員のほかにも、育児や介護といったいろいろなライフステージにある社員もいますが、異なる状況に配慮しながら、お互いに認め合っています。
上記の点で、アイティメディアは、自分の能力を存分に発揮したいという意欲がある障害者の方々には、とてもいい職場だと私は考えています。
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アイティメディアでは、一緒にイキイキと働いてくれる障害を持った社員の募集を随時行っています!
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