アイティメディアでは、短期または長期で遠隔地の勤務を可能とするスマートワーク+制度を導入しています。
そのひとつ、「スマートワーク+Long」制度は、一定の制約(※)のもと、本社への通勤時間が2時間を超える遠隔地で、継続的な勤務を認めるものです。制度の運用を開始したのは2022年10月で、2023年11月時点で6名が利用しています。そこで、現在制度を利用している社員にアンケートを行い、実際どのように使われているかをお伝えします。
(※)制度利用者は、将来にわたり臨場業務のアサインや出社が必要な緊急対応が難しいことから、一律報酬から5%減額の上で勤務することになります
継続した、よりよい価値発揮に貢献
まず、制度利用者が現在住んでいる都道府県は、以下の通りです。
秋田1、宮城2、長野1、大阪1、沖縄1
遠隔地で勤務することにした理由を聞いてみると、半数が「親の介護、サポート」でした。もう半分の社員の理由は「自身にとって望ましい環境で生活したい」でしたが、望ましい環境を選択した結果、実家で生活しているケースもあるようです。
介護を理由とした離職は、本人にとってキャリアの中断になるのはもちろん、会社にとっても本来活躍するはずの社員が退職してしまう、大きな損失です。出身地に戻って、家族のサポートをしながら在宅勤務を継続してもらうことは、介護離職という課題に対するひとつの解決策になるのではないでしょうか。
また、実家であれ新しい環境であれ、社員本人にとって望ましい環境に住むことは、心身の健康につながるはずです。そして、よりイキイキと働き、価値発揮を更に高めることもできます。そういった観点で、スマートワーク+Long制度は会社にとっても利益があります。
大切にしたいこと中心の生活
スマートワーク+Long利用者には、制度を利用してよかったことも質問しました。
家族のサポートのために制度を利用している社員は、「親孝行ができている」「親のそばにいられることで、親も自分も安心」と、サポートを実現できているからこその回答でした。また、「生活費を節約できている」という声もありました。
自身にとって望ましい環境のために制度を利用している社員からは、「環境を変えたことで、ストレスを感じることが減った」「気持ちにゆとりを持てている」と、生活の質の向上を実感する声がありました。沖縄に移住した社員は、生活の中で豊かな自然に触れることが増えたため、特別な行動をしなくてもストレス解消ができ、気分転換のための出費が以前と比べて必要でなくなったと教えてくれました。
これらの回答に共通するのは、社員本人にとって今大切にしたいことが中心の生活を、会社がサポートできていることです。大切にしたいことは、個人によって様々です。また、同じ社員でも、時間の経過とともに変化します。会社が社員のニーズに合った働き方を提供することで、会社にも社員にも利益のある状態を作れています。
在宅勤務の課題も解決
勤務形態の制度である以上、言うまでもないことですが、スマートワーク+Long制度の利用には、現状と同等の業務を行えることが前提です。そこで、「制度利用が仕事にもたらした影響」も聞いてみました。回答の中からピックアップして紹介します。
・働きやすい環境を整えられる制度があること自体が、業務に前向きに取り組む気持ちに良い影響をもたらしている
・仕事の時間とプライベートの時間を区切れるようになり、仕事により集中できるようになった。制度利用前はオンオフの切り替えが課題だった
まず、制度の存在そのものが、業務に対する意欲をもたらしていることは、制度を運営している立場としてはうれしいことです。また、オンオフの切り替えに良い影響があることは、アンケートを通して初めて分かった点でした。この数年で、在宅勤務が以前より浸透しましたが、多くの人が利用することで、課題もより明らかになっています。まさに課題のひとつであるオンオフの切り替えのために、実家で在宅勤務を行い、家族とだんらんの時間を持てるようにすることも、ひとつの解決策かもしれません。
これからも柔軟に運用
この記事では、スマートワーク+Long制度の利用状況を、利用者へのアンケートを通して見てきました。ライフイベントに対応しながら、キャリアを継続する手段、またよりよい生活環境を整える手段として、制度が利用されています。これらは社員にとっての利益ですが、継続して高い価値発揮を行ってもらえることは、会社にとっての利益でもあります。
スマートワーク+Long制度は、運用を開始してまだ1年と少しです。制度の設計時には想定していなかった事例もありますが、ひとつひとつの状況を、経営と人事で柔軟に検討しています。人事ポリシーである「Value First(価値にとことん、こだわり抜く)」を実現できるよう、これからも社員を支援できる制度運用を行っていきます。
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