アイティメディアでは、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献すべく、様々な取り組みを行っています(※)。当社がサステナビリティのために優先的に取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)の中には、「多様性を尊重した働き方の推進」があり含まれます。具体的な施策のひとつが、従来から取り組んでいた障害者採用をより一層推進することです。
(※)当社のサステナビリティに関する取り組みについては、「アイティメディアのサステナビリティ」をご覧ください
当社は、障害のある方にも、ひとりひとりに合った挑戦環境を用意したいと考えています。周囲の合理的な配慮と当事者個々の価値発揮を通じて、多様な働き方への理解を更に深め、企業として成長できると期待しているからです。
障害者雇用枠での就職を検討されている方の中には、「自分の強みを活かした仕事ができるか」「障害があることで仕事に制限をかけられてしまうのではないか」「特性に応じた配慮はしてくれるのだろうか」といった不安を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。 そこで今回は、障害者雇用枠で当社に入社したAさんと、その上長であるBさんへのインタビューを通じて、アイティメディアが障害のある社員とどのように向き合い、そして障害当事者である社員がどのように組織に貢献しているのかをお伝えしたいと思います。
Aさんの特性として、学習意欲の高さや論理的思考力、発想力が強みである一方、業務指示は文章で行うなど、コミュニケーション面で周囲の配慮が必要です。必要な配慮を受けつつ強みを存分に発揮し、入社後1年経たずして、革新的な成果を創出した社員として全社表彰を受け、昇格もしました。まずは、そんなAさんの声をお伝えします。
意思決定に貢献できる人材へ
――まずは、現在の業務内容を教えてください。
A: リードジェネレーション事業に関わる業務を円滑かつ効率的に推進するためのBPR部門に所属し、従来手動で行っていた業務を自動化する仕組みを構築しています。具体的には、ExcelやGoogleスプレッドシートのスキルを活かし、データ分析や統計結果を自動で出力するシートの作成などです。
――素晴らしい成果を創出し、表彰されたこともありましたね?
A: はい、私の所属する部署では、集客などの目標の達成日や売上計上日の予測を、属人化した手動の作業で行っていました。この予測を自動で行えるツールを作ったことで、予測の精度向上や、作業時間の短縮などの点で部門、ひいては全社に大きく貢献したと評価を受け、全社会議の場で表彰されました。私がもともと身に付けていた関数や統計の知識も役に立ちましたし、部門のみなさんが入社1年に満たない私にチャンスを与えてくれたおかげでもあります。
――Aさんが、日々課題意識を持ち、意欲的に新しい挑戦をされているからこそ、チャンスが与えられたんだと思います。業務内容について、ご自身の強みや特性に合っていると思う点があれば教えてください。
A: 私は、表計算による自動出力など、アイディアと知識を活かして自由にものを作る業務が得意だと考えているのですが、先程お話したツール作成などは、自分の強みに合った業務だと考えています。
一般的に障害者採用で入社した場合、特性上苦手なことへの配慮が受けられる一方で、業務内容や評価が限定的なものになってしまう場合も多いと聞いています。しかし、当社では自分の意欲や能力に合わせて挑戦できますし、成果を出せばその分評価を受けられます。
――他に、上長がAさんの強みや特性に合わせて業務をアサインしてくれていると感じることはありますか?
A: 先程お話した業務領域ももちろんですが、業務の難易度についても、自分のことをよく見てくれていると感じます。既に身に付いている知識だけでは不足していても、依頼を受けて新たに学習したうえでならば対応できる範囲を絶妙に見極めてくださっています。学習意欲は私の強みのひとつでもあるので、その点も含めて期待してくださっているのかもしれません。その反面、まだ入社したばかりということもあって部署の他メンバーや他部署の部長などとのコミュニケーションにはあまり慣れていないのですが、上長に手助けいただけています。自分の特性を理解した上で配慮してくださり、助かっています。
――強みだけでなく、配慮が必要な点も、上長が見極めて適切に対応できているようでよかったです。障害のある人が働く職場という観点から、所属する組織のよいところを教えてください。
A: まずは、社員ひとりひとりの自律性を信頼し、自由度の高い環境で業務にあたれることです。決められた期日までにタスクを進行できれば、その間のペース配分は自由に行えますし、余裕があればより高度な対応を行ってもよいといった、私に任せてもらえる範囲が大きいですね。
また、同じ部署の先輩や上司が、厳しい上下関係を求めるのではなく、フランクかつ親切にやり取りしてくださるので、落ち着いた気持ちで働くことができています。
――自由度の高さや、互いに尊重し合う風土は当社の特徴ですよね。反対に、今後改善してほしい点はありますか?
A: 社内や部署内のルール、業務の進め方などで、文章にまとめて可視化することはもっと進めていただいてもいいかな、と思っています。現在のところ、疑問に思った際に質問すれば回答していただけているのでそこまで不便はないのですが、可視化が進めば会社理解や業務の習熟がよりスムーズになるのではないでしょうか。
――現在、社内ポータルサイトを作成し情報の可視化を進めていますので、ご期待ください! ところで、Aさんは当社へ「転職」をされたわけですが、入社して驚いたことはありましたか?
A: 前職が特例子会社だったので、任せてもらえる業務の範囲や、共有される情報が制限されていると感じていました。しかし、アイティメディアに入社した後は、能力に応じて業務を任せてもらえますし、情報開示の範囲も「障害者雇用だから」と制限されることは特にありませんでした。他の社員と同じ戦力として活躍できる環境に驚きました。
――最後に、今後の目標を教えてください!
A: ITスキルや統計など、私の得意とする領域で更に習熟して、組織の成長、ひいては意思決定に貢献できる人材になることが目標です。前職では、必要な配慮は手厚く受けられていましたが、将来的な成長の面では伸びしろが限られていました。しかし、アイティメディアでは結果を出せばその分大きな仕事にも関われるようになっています。実力を身に付けた分だけ、キャリアアップもできるという未来への展望を抱けるようになりました。
――ありがとうございました! 今後ますますのご活躍を楽しみにしています。
配慮の手法を試して見つける
続いて、Aさんの上長のBさんの声をお届けします。Bさんの部署で障害者を雇用するのは初めてでしたが、Bさんは非常に丁寧な配慮を行い、Aさんの成果創出を支援しています。
――Aさんがこれまでに出された成果のうち、最も印象的だったものを教えてください。
B: 本人も話していますが、案件の達成日予測ツールです。私からは、蓄積するデータの種類や、ツール内に表示すべき項目などを指示しました。完成したものを確認したところ、当初指示した要件に加えて、そのツールで導き出した予測の確からしさまで求められるようになっていました。この経験をもとに、Aさんは業務を指示されたときに、その業務の目的まで的確に理解したうえで、達成までの道筋を論理的に計画し、自分が貢献できる点を探して成果物に付加価値をつけられる力があることが分かりました。こちらの指示を理解して作業を行うだけではなく、進め方やゴールも主体的に考える必要のある業務でも価値を発揮してくれています。
――Aさんは、部署の一員として活躍されているんですね。それでは、Aさんの仕事ぶりを見ていて特に評価できる点は何ですか?
B: 学習意欲の高さです。私が依頼したタスクの中で、Aさんにとって未経験の分野や、不足する知識などがあっても、Aさんは自ら学習を進めてタスクを完遂してくれています。具体的なエピソードとして挙げられるのは、業務自動化ツールの作成を依頼した時のことです。それまでAさんは、自動化に必要なRPAツール自体を利用したことがありませんでした。しかし、ツール作成のために必要だと分かると、自主的に学習を進め、実際に1週間程度で仮ツールを作ってくれました。
――一方で、障害特性上の配慮も必要かと思います。具体的に、どのような配慮をしていますか?
B: 業務を依頼する際は、口頭ではなく、チャットやタスク管理ツールなどを通じて全て文章で行っています。また、情報混乱を避けるために、業務指示は私のみが行うなどレポートラインを一本化しています。私以外のメンバーも参加する会議では、コメントを考えておく、要点を整理しておくなど、事前に準備をしてもらっています。
――コミュニケーション上の配慮が中心のようですね。お話いただいた配慮事項はどのように把握されましたか?
B: 採用面接の段階で、コミュニケーション面で苦手があると聞いていたため、そこへの配慮を手厚く行おうと考えていました。入社後に何種類かのコミュニケーション方法を試して、一番スムーズにやり取りができる方法や指示内容を選択しました。
――ありがとうございました。Aさんの強みを発揮してもらうために、上長としてAさんの様子を日頃からよく見て、マネジメントをされていることがわかりました。
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