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エンジニア管理職・スペシャリスト対談 自社システムをそれぞれの方法で支える

 アイティメディアは、国内最大級のインターネット専業メディアです。具体的な数字を挙げると、30以上の専門メディア、毎月6,000本以上の新着記事、4億ページビュー、5,000万ユニークブラウザとなります。この膨大なトラフィックを支えているのが、メディア・テクノロジー本部のエンジニア職です。

 エンジニア職を含め、社員には大きく分けて2つのキャリアパスがあります。組織価値コース・個人価値コースです。組織価値コースは、管理者として組織を率い、組織業績で会社全体の業績を大きく牽引します。個人価値コースは、高度な専門性を持ったスペシャリストで、パフォーマンス型とプロジェクト型に分かれます。パフォーマンス型は、高い個人業績で組織に貢献します。プロジェクト型は、プロジェクトリーダーとして難易度・影響度の高い重要ミッションを推進します。

 この記事では、メディア・テクノロジー本部で管理職とスペシャリストという異なるキャリアを選択した2名のエンジニアに、キャリアをテーマに対談してもらいました。対談を通して、アイティメディアのエンジニア職が実現できるキャリアの形をお伝えします。

 対談を行ったのは、メディア・テクノロジー本部 テクノロジー統括部 テクノロジー・ソリューション3部長の粕谷貴志と、メディア・テクノロジー本部 テクノロジー統括部 システム・ソリューション部の池田樹俊です。司会は、人事統括部 HRリクルート&サポート部の堀です。

現在の業務

――まずは、お2人の現在の業務を教えてください。

粕谷: 私の業務は、大きく分けて2つあります。

 1つ目は、部長としての組織運営です。現在は4名のメンバーをマネジメントしています。メンバーには開発に集中してほしいので、他部門との調整など、開発に直接関わらない業務は私が引き受けています。効率的だと感じた仕事の進め方をメンバーに共有するなど、成長のための情報提供も行っています。

 2つ目は、プロジェクトマネージャーとしての業務です。現在は、子会社の「発注ナビ」、あるいは新規事業のためのシステム開発や、既存のシステムの置き換えといったプロジェクトが進んでいます。いずれの場合も、私の役割はビジネス側の要望を聞いて課題解決の方法を考えることです。その先は、外部業者に開発を依頼する場合もあれば、部下に開発物を作成してもらい、リリースまで伴走する場合もあります。

池田: 私は、スペシャリストとして専門知識を活かし、セキュリティ領域の課題解決に取り組んでいます。ひとつの課題に対して、企画から実装、その後の運用まで一貫して担当します。

 直近で担当している主なプロジェクトは、社内向けでは全体のセキュリティアセスメント計画、社外向けではウェブサイトを攻撃から守る仕組みの導入があります。対象範囲が広いものだけではなく、メール配信時のセキュリティを強化するなど、ピンポイントのセキュリティ施策も担当しています。

――プロジェクトの内容をうかがうと、全社で表彰された取り組みなど、大きなものばかりですね! おふたりとも重要な業務を担っていて、責任も大きいと思いますが、日々どういった姿勢で業務に取り組んでおられますか?

粕谷: 部長として、いつも「メンバー自身に自走してもらいたい、そのために仮説を立てられるようになってほしい」と考えています。私の役割は、業務の優先順位付け、プロジェクトの大きな方向性といった、俯瞰的な視点を必要とする決定です。そして、より具体的な開発物は、一緒に考える時間も取りつつ、メンバーに自ら取り組んでもらっています。最近は、メンバーにユーザー側の考え方が浸透して、自ら優先順位付けを行ってくれることもあるので、成長を感じますね。

池田: 私はセキュリティ領域を担当していますが、正直なところ、セキュリティ領域には「流れ着いた」感覚があります。新卒入社当時に、部内での役割を持ちたくて考えた結果、セキュリティ領域の業務を積極的に担当することにしていました。等級が上がるにつれて、自身の専門性や任されるプロジェクトのレベルも上がり、また同じタイミングで会社としてもセキュリティ対応が課題になったので、スペシャリストとしてセキュリティ領域の課題解決を自然と担うようになったんです。

 セキュリティ領域では、社外向けだけでなく、社内向けシステムにも関わっています。社内向けシステムの担当部署は、私たちとは別組織の管理部門にあります。お互いの担当領域の確認や、部門長間で意見が違ったときの調整など、エンジニアとしての開発だけではなく、コミュニケーションも担っています。どちらかと言えば、開発より調整の方がメインの業務かもしれません。

――現在の管理職・スペシャリストとしての立場になる前、ここまでのキャリアの歩みについても、教えてください。

粕谷: 私は、新卒でパッケージベンダーに入社して、7年ほど在籍しました。コアとなる計算処理やその前後の処理、エンドユーザー用の画面といった直接の開発業務の他、ユーザーからの問い合わせへの回答や改善要望について一緒に考えるなど、一通りの開発サイクルを経験しました。また年次が経つにつれ、後輩にも成果を出してもらうよう、彼らのサポートをするようになっていきました。その後、2018年にアイティメディアに転職してきました。

 アイティメディアでは、開発に専念するより、技術とビジネスの橋渡しをする、プロジェクトマネージャーに近い業務を多く担当してきました。人の仕事をまとめることが多かった流れもあり、2023年に部長に就任しました。

池田: 私は2016年に新卒で入社しました。それ以来、ずっとインフラを通して社内外のシステムに関わっています。

 直近で関わったプロジェクトは、記事・メールマガジンの配信システムや、リモートワークを実現する社内向けのシステムの設計・構築・維持運用などです。

調整し伴走する管理職、答えのない課題に取り組むスペシャリスト

――現在の立場になる際、「組織価値コース」「個人価値コース」をそれぞれ選択したときは、どのようにコースを選びましたか? また、選択後の変化も教えてください。

粕谷: コース選択は、主体的に行ったというより、上長から提案を受けました。プロジェクトマネージャーの経験があったことと、自分自身の今後のキャリアとしては、管理者の方がより合っているのではないかと考えたことから、組織価値コースを選択した形です。

 コース選択後最大の変化は、自分の目標に、部下の目標達成も含まれるところです。メンバーが主体的に課題を解決できるよう、後押しすることは強く意識しています。

 そのほかの変化としては、部長になってから、ミーティングや1on1など、話す時間が増えました。私の場合、手を動かして開発する時間はもともと多くはなかったのですが、さらに少なくなりました。関係者の間の調整や、部下からの質問などで1日が終わっている感じがあり、正直なところ楽しいよりは大変といった感覚がまだ強いです。しかし、自分の提案で組織のパフォーマンスが上がって、業務の見通しがよくなったときは、うれしさや達成感があります。

池田: 私も、主体的にコースを選択したわけではありません。アイティメディアで自分のキャリアを積む中で、昇格と共に個人価値コースの方へ振り分けられたという感覚です。

 そして、エンジニア職のスペシャリストの場合、それ以前と比べると日々の業務の形はあまり変わっていないんです。必要に応じて上長のフォローも受けながら、自身に与えられた課題解決に取り組む点は、個人価値コースを選択する前と同じです。

 大変になったことは、答えのない課題に取り組むようになったことです。アイティメディアは、創業以来約25年にわたって、同じシステムを使い続けています。Webメディアとしては老舗企業だけに、同様のシステムを運用する他社事例はありません。一方で、システムは運用期間が長くなるほど、複雑化していきます。だから、込み入ったシステムを解きほぐして理解したうえで、課題解決の道筋をつける必要があるんです。答えがないと言えば、人員などのリソースが限られている中で、自分のプロジェクトに協力してもらう方法を考えるのも、システムの課題解決とはまた違った、答えのない課題ですね。

――与えられた機会に挑戦する形での選択だったんですね。コース選択後も、ご自身で試行錯誤しながらキャリアを積んでおられることが伝わってきます。ところで、今の印象として、組織価値コースと個人価値コースの違いはなんだと思いますか?

池田: マネジメントを担わない個人価値コースとして、組織価値コースは部下をサポートする能力も必要なので、大変なのではないかと想像します。個人価値コースは、同時に複数のプロジェクトが進行している中、プロジェクトマネジメントを主体的に行い、より多く、より質の高い成果を出すことで、組織に貢献します。一方で、目標の8~9割は自身のプロジェクトの遂行で、マネジメントの目標は持ちません。

粕谷: そうですね、池田さんの言葉通り、組織価値コースには部下がいることが最大の違いだと思います。自分の目標に、部下の成長を促すことが含まれるのは、アイティメディアに限ったことではないですが、管理職の特徴ですね。

 ただ、部下がいるかどうかの違いがあるとはいえ、同じ等級の組織価値コースと個人価値コースで、目標のレベルが違うわけではないと思います。課題を解決して目標に貢献するのはどちらも同じで、方法が違うだけではないでしょうか。

――ちなみに、アイティメディアに入社してから受けたキャリアサポートで、「これは助かった!」というものがあれば教えてください。

池田: 私は自己啓発サポート制度をよく利用しています。自学自習の費用を半期に5万円まで支給してもらえる制度ですが、AWSやセキュリティ系の資格を取得する際、受験料に充てました。IT系の資格は受験料が高額なものが多く、ドル建てとなると負担もさらに大きくなってしまって……。そこで会社の補助を受けられるのは、ありがたいです。

粕谷: 組織価値コースを選択してすぐに、会社の指定で受講したマネジメント研修は、とても参考になりました。エンジニア職の特徴に合わせてアレンジが必要な部分もありましたが、自分の管理職としての考えを整理するいい機会でした。そして私も、池田さんと同じく自己啓発サポート制度を利用しています。管理職になると、会計など専門外の知識も必要になるので、書籍を購入して学んでいます。

 視点を広げた話になりますが、エンジニアのキャリア形成サポートという点で言えば、やりがいのある面白い仕事を与えてもらうのが一番ではないかと思います。エンジニアは、興味を持ったことは自主的に学ぶ人たちです。当社の人事制度は、目標設定や昇格などで挑戦機会(※)を提供していると認識しています。普段も、学びの必要にも気づけるチャレンジングな業務のアサインがあったら、若手層もどんどん成長できそうです。
(※)アイティメディアの人材育成に組み込まれた「挑戦機会」の解説はこちら

コース選択のヒントは日々の仕事にもある

――この記事を読む方の中には、アイティメディアでのキャリアを検討している方や、自身のキャリア形成を考えている社員もいると思います。お2人から見て、組織価値コース・個人価値コースをそれぞれ勧めたい人の特徴があれば、教えていただけますか?

粕谷: 他の人に仕事を任せられる人は、組織価値コースに向いていると思います(笑)。他者の成長に貢献したい人、個人では実現できない大きな目標を達成したい人も組織価値コース向きではないでしょうか。

池田: 粕谷さんのお話の裏返しになりますが、課題を自分自身で解決したい人は、個人価値コースが向いていると思います。私は、プロジェクトの最初から最後まで自分が把握していたいので、個人価値コースを主体的に選んだわけではないとはいえ、自分に合った選択でした。

 手伝いを頼むなど、他メンバーとのコミュニケーションは個人価値コースでも当然あります。しかし、上司として部下に伴走するほど深く関わるわけではないので、自分の課題解決に集中できるのもいいところです。

3年後、それぞれの理想像

――なるほど、仕事のスタイルもポイントなんですね! 日々を振り返って、具体的に考えられそうです。

 最後に、お2人の将来の目標を教えてください。

粕谷: 自身のキャリアのはっきりした目標は現在のところないのですが、3年先ぐらいの理想的なあり方は考えています。3年後には、まず部下が自分で仮説を立てて成果を出せるようにしたいです。極端なことを言えば、私が寝ていても業務が完了するくらいにしたいですね(笑)。あとは、自分が関わった発注ナビなどの組織がますます成長するのも楽しみにしています。「あのとき開発に携わってよかったな」と思いたいです。

池田: 私も3年くらいの単位で、業務の進め方を考えています。まずは担当しているセキュリティ分野で、セルフチェックを行い、改善点を明らかにしたいです。とはいえ、アイティメディアのシステムは、運用開始から時間が経っているだけに改善点も多いので、定年までにやり切れるかなと考えたりしています(笑)。マンパワーは常に必要なので、お手伝いしてくださる方はいつでも大歓迎です。