アイティメディアは、1999年にIT分野の総合情報サイトとしてスタートしました。2025年には創業25周年を迎えましたが、現在もIT領域のメディアは重要な軸のひとつです。DXが重要な社会課題となっている今、IT情報の発信を担う編集部の存在はとても重要です。発信力をさらに高めるためにも、採用を強化していこうと考えています。
この記事では、BtoBメディア事業本部 メディア本部 DX編集統括部 統括編集長の内野宏信にインタビューを行いました。アイティメディアでIT領域のメディア運営に携わりたいと思う方に、キャリアのイメージを描いていただけるよう、内野が編集記者として自身のキャリアから学んだこと、IT領域メディアの現在と今後の展望をお伝えします。聞き手は管理本部 財務企画統括部 広報・サステナビリティ推進部の村田です。
――はじめに、内野さんご自身のキャリアを教えていただけますか。
内野: 大学時代から「文章に携わる仕事がしたい」と考えていたこともあり、入社前はライターや編集者としてスキルを磨きながら、自分に合った環境を探していました。と言えば聞こえはいいかもしれませんが(笑)、アイティメディアは8社目で、興味の赴くままに経験を積んできたと言った方が正確です。クルマ、音楽、マーケティング、物流など複数の業界紙誌を経験する中で、各業界でIT活用がポイントになっていることに興味を持ち、「IT専門メディアもいいかも」と考え転職してきました。
しかし、「IT専門」のハードルは想像以上に高く、入社後1年ほどは知識不足で全く活躍できないどころか、周囲に馴染むことすらできませんでした(笑) そんな状態を見かねた当時の上長や同僚の指摘をきっかけに、あるとき覚悟を決めたんです。自分の意志でここに来たんじゃないのかと。そこで周囲に思い切って飛び込んでみると、あたたかく受け入れてくれて、分からないことも丁寧に教えてくれたんですね。フリー時代も含めて編集記者として食べてきた経験が、いらぬプライドとなって殻に閉じこもっていたんだと思います。ちなみにアイティメディアは、自分も含めてヘンな奴は多めですが(笑)、イヤな奴はいないんですよ。これはいまだに弊社の美点だと思います。
そんな周囲のお陰もあって、企業ITの知識がついてきたことで、もともと持っていた編集スキルを徐々に発揮できるようになり、手がけた記事の評判もよくなっていきました。同時に、事象の背景にある本質的な問題も見えてくるようになり、生意気にも「より本質に迫る記事を増やしたい」と考えるようになっていったんですね。それを日常的に周囲にも話していたところ、その意識を買われて2014年に「@IT」の編集長になりました。
そうした中で大切だと気づいたのは、素直になること、腹を割って話すこと、周囲に感謝することでした。好奇心や問題意識を持って意見を発信していると、興味を持って聞いてくれる人や、機会を与えてくれる人との出会いがやってくるものなんですよね。殻にこもらず、腹を割ってコミュニケーションすることが、次の仕事をもたらし続けてくれていると感じます。現在は@ITを含む企業IT系媒体を中心に、DX編集統括部の7メディア全体をみています。
――内野さんが現在統括編集長を務める、DX編集統括部とそのメディアについて教えてください。
内野: DX編集統括部は、企業IT分野の情報をさまざまな観点から提供する会員制Webメディアを運営しています。組織としての統括部の仕事は、直接・間接に企業ITに携わる読者会員を獲得し、その満足度やエンゲージメントを向上させることです。社会全体にデジタルが浸透している中で、ITがもたらすメリットや、安全かつ効果的に使う上で必要な考え方やノウハウ、事例など、質の高い専門的な情報を各メディアがそれぞれの視点、切り口で発信しています。
具体的なメディア名と各々の領域は、以下の表の通りです。
ビジネスパーソン向けメディア

企業の情報システム部門向けメディア

「質の高い情報を発信する」というのは、例えば「信頼できる一次情報を基に、編集記者独自の視点で情報を切り取り、コンテンツとしてアウトプットする」といったことです。
特に昨今はAIが急速に発展し、生成AIが検索結果を要約する仕組みなども出てきて、メディアに求められる要件が急速に変化しています。われわれには、AIに代替されない深い読者理解と独自の視点でコンテンツを発信する「専門メディア」としての強みを、より一層明確に打ち出すことが求められています。
――DX編集統括部の編集記者の仕事は、どのようなものでしょうか。
内野: コンテンツ作成業務は大まかに分けて2つです。ひとつは記者発表や、自ら企画したインタビューなどで得た情報を、自身の視点と知見を基にコンテンツとしてまとめること。もうひとつは、高度な知見を持つ著者を開拓し、執筆を依頼することです。読者の情報ニーズを見据えて企画原案を作り、著者と打ち合わせをして構成案を練り、寄稿されたものを編集します。
割合はまちまちですが、およそ全ての編集記者がこの2つの業務を担っています。表現手段もテキストだけではなく、イベントやセミナー、動画などさまざまです。また、流入経路やサイト内回遊状況の分析・改善など、「読んでもらう」「見てもらう」ための工夫も重要な仕事の一つです。
そうした中で、最も基本的な活動となるのが、自分のメディアがターゲットとしている読者の課題感やビジネス/技術のトレンドを、日ごろからウォッチしておくこと。これは机に向かっているだけでは決してできません。Webでも情報収集はできますが、現場、現物、現人からでないと得られない情報がたくさんあります。どんどん外に出て人に話を聞く。そうして情報を浴びていると「伝えるべきテーマ」が自分の中におのずと醸成されていきます。それを獲得した情報と掛け合わせて、読者ニーズを見据えつつ役立つコンテンツを編むのが編集記者の仕事です。
しかし、企業IT分野の理解には多くの知識が求められます。ひとつのトレンドを扱うにしても、背景にある複数の事象、技術の理解が必要です。ITが支援するビジネスの仕組みや業務知識、働く人の心理なども知っておかなければなりません。従って、場合によってはキャリアのスタート時に知識が足りず、困ることもあるかもしれませんね。企画を考える手掛かりすらないような状態を乗り越えることが、もしかしたら企業IT領域の編集記者として最初のハードルになるかもしれません。
それでもとにかく目の前のテーマに愚直に取り組むことが大切です。たとえば、企業の公式発表などを記事にするとき、意味の分からない用語や略語がきっとたくさん出てくるはずです。最初は一つ一つ言葉の意味を調べて、前後の文脈とつなげることで、なんとか理解できる程度かもしれません。取材すると言っても何を聞けばいいのかわからないかもしれません。今は生成AIに聞けば参考情報を得られますが、最終的に求められるのはやはり自分の視点です。
この過程で自ら調べたり話を聞いたりして疑問を解消していくことで、分からなかったことが知識として定着し、“視点”が醸成されていくのを実感できるはずです。もちろん、この取り組みに終わりはありません。ビジネス、社会、テクノロジーは変わっていきますから、私自身も常に情報をアップデートするよう心がけています。情報を誰でも容易に獲得できるようになっている中だからこそ、「その人独自のセンス」が「メディアのファン」を増やしていく上で不可欠だと思うんですよね。
――DX編集統括部の編集記者職に求める人物像を教えてください。
内野: 自ら学び、自らテーマを発見して、好奇心をもって行動できる方でしょうか。先ほどお話ししたような、何が手掛かりになるかも分からない最初の状態を乗り越える上でも、自発的に考え、主体的に行動できることが欠かせません。
加えて、編集記者になる方には、数値目標を達成する観点も持っていただきたいですね。商業メディアは自己満足では存続できません。読者や業界の支持を獲得し、信頼と収益を獲得することでメディアを成長・発展させ続ける必要があります。結果を出せれば、メディアを拡張し、コンテンツの見せ方やバリエーションを追求でき、発信舞台をさらに充実させられるという好循環が生まれます。
また、ここでお伝えしたいのが、数値目標の達成は、良質なコンテンツ発信によってこそ実現するということ。読者理解を基に、今の課題のみならず、読者自身も言語化できていないような潜在課題、将来課題を先回りして提示することも心がけています。そうしたコンテンツこそが読者にとって魅力的な情報になり得ると考えているからです。ただ単に記事を量産したりバズらせたり、ビューや会員さえ獲れればいいといったものでは決してありません。メディアの仕事は「作業」ではないからです。
「メディア」とは「媒介者」ですから、独善的かつ一方的になることなく、一つのポリシーの下で、読者と社会、読者同士を有益な形でつなぐことが求められていると思うんです。われわれの場合は「ファン」を増やし、共感をもって行動変容を促すことで、ビジネス、社会、テクノロジーの発展を少しでも後押しできればと考えているわけです。
――最後に、DX編集統括部の求人に応募する方に向けたメッセージをお願いします!
内野: 弊社に限らず、自分がやりたいことは何か、応募先のビジョンに共感できるか、メディアの役割を自分はどう思うのかを、改めて考えていただければと思います。経験的に言って、「作った初心」ではない「本当の初心」は大切ですし、案外、尾を引くものなんですよね。そこが現実とズレていると、あるとき不意に「こんなことがやりかったわけじゃない!」とかになりがちなわけですよ、経験的に言って(笑) 自分に嘘はつけないと言いますか。
特にメディアの仕事は、日々情報をキャッチアップし、咀嚼して届けなければなりません。情報の見せ方、伝え方も常に見直しが必要です。大変と言えば大変ですが、やりがいや発見、出会いに満ちた仕事です。これを「恵まれた仕事」として味わえそうかどうか。また、自分が表現したいことだけを追求するのではなく、常に「自分の意見」と「情報の受け手」の両方を見据えて事象に取り組むことができそうかどうか。コンテンツ作成、メディア運営問わず、多様な反響、多様な状況から、常に次のテーマを見いだせそうかどうか。ある意味、自戒も込めつつお話するとこんな感じでしょうか(笑)
あなたが本当にやりたいことは何でしょうか。「メディア」に興味を持った理由は何でしょうか。共通の目的に向けて、楽しみややりがいをもって取り組めそうな方にはぜひお会いしたいですね。



