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今さら聞けないアイティメディアのビジネスモデル

 アイティメディアは名前の通り、ITとその周辺領域を中心としたWebメディアを運営している会社です。

 ITやネットの最新情報を幅広く扱う「ITmedia NEWS」、システム構築やサービス開発を担うITエンジニア向けに情報を発信する「@IT」、製造業の専門メディアである「MONOist」など、ITとその周辺領域を扱うさまざまなメディアがありますが、基本的にどの記事も無料で読めるようになっています。読者に課金していただくことはありません。

 しかし、記事を書くにもサイトを運営するにも、当然お金はかかります。メディアとして記事の質を保ちながら、安定的に情報提供するためには、「企業としてしっかりとお金を稼ぐ」必要があります。

 「じゃあ、アイティメディアってどうやって稼いでいるの?」

 今回は、そんなお話をしたいと思います。

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 アイティメディアを支えるビジネスモデルは、大きく分けて「広告」と「リードジェネレーション」の2つです。どちらも「各メディアの読者」と「製品やサービスを広めたい企業」が出合う機会をつくるものですが、目的や向いているメディアなどが異なります。

「たくさんの人に知って欲しい」をかなえる「広告」

 まずは広告について。メディア業界を志望されていたらご存じの方も多いと思いますが、Webメディアを支えているのは主に「広告費」です。製品やサービスを広めたい企業(クライアント)からお金をもらい、それに興味関心がありそうな読者のいる媒体に掲載し、認知や販促につなげる。これが基本的な広告のビジネスモデルです。

 クライアントがメディアに出稿するのは、ターゲットに効率良く訴求したいから。「お得なビジネススーツがあります!」という広告を出すなら、スーツを全く着ない人ではなく、「仕事で毎日スーツを着る人」に見てもらいたいですよね。そこでポイントになるのが、どこにどんな広告を掲載するか――つまり、どのメディアのどんな商品を使うかです。

 ひと口に「IT領域の専門メディア」といっても、ITに関わる最新情報を幅広く伝えるものから、特定の産業や業種に特化したものまで、媒体ごとに扱う話題も読者の属性も異なります。広くたくさんの人にサービスを知ってほしいなら網羅的で速報性のあるメディアに、企業に自社の製品を売り込むなら、製品導入の決定権を持つ人が多く集まるメディアに……といったように、クライアントは目的に合った媒体を選ぶことで、より効果的な広告を出すことができます。

 同様に広告商品も、「人目に付くところに掲載してたくさんの人に見てもらう(バナー広告など)」「製品に興味を持ってくれそうなだけに絞って情報を送る(ターゲティングメールなど)」といった、目的に合ったものを選ぶ必要があります。

「こんな人にアプローチしたい」をかなえるリードジェネレーション

 広告と一緒にアイティメディアを支えているのが「リードジェネレーション」です。リードジェネレーションとは、顕在層や見込み顧客を獲得するための活動のこと。広告が「まずは商品について知ってもらいたい」「たくさんの人に広めたい」といった目的で使われることが多いのに対し、リードジェネレーションは「製品やサービスへの興味関心を深める」「製品導入につなげる」といった目的で使われることが多いです。

 アイティメディアでは、「TechTargetジャパン」や「ITmedia エンタープライズ」といった会員制メディアやアンケートなどを活用し、クライアントのニーズに合わせて読者の属性情報を提供しています。(※もちろん会員情報については、会員の同意を得た上で提供していますのでご安心ください)

 また、最近は見込み顧客の購入意欲・導入意欲を育てる(リードナーチャリング)ためのバーチャルイベントにも力を入れています。展示会やセミナーをネット上で開催できるサービスは、“新しい生活様式”ならぬ、“新しい商談様式”としても注目されつつあります。

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 広告とリードジェネレーション、どちらにも共通していえるのは、アイティメディアのビジネスは、読者とクライアント企業を結び付けるものだということです。各メディアは「こんな情報が知りたい」「こんな課題を解決したい」といった読者のニーズに応えるものであると同時に、その潜在的・顕在的ニーズに合った製品やサービスと出合う場所でもあるのです。

 しかし、読者とクライアントのニーズは最初からぴったり合うわけではありません。「こんなことが知りたい」「こんなものが欲しい」といったニーズが読者本人には見えていないことも、「この情報を届けるために何をすべきか」「この製品はどんな人なら買ってくれそうか」などとクライアントが迷っていることもあります。

 そのためアイティメディアでは、読者ファーストの編集部とクライアントファーストの営業が協力し、さまざまなメディアと商品を組み合わせながら提案・提供することで、双方にとってよりよい出合いを作り上げています。

 とはいえ、こうしたビジネスが成立するのは、「ここを見れば自分の知りたいことが分かる」「このメディアの情報は信じられる」という、読者の信頼があればこそ。ですから、各メディアの編集部には、「どんな情報や話題を扱うか」「どんな人をターゲットにしているか」を明確にし、信頼性の高いコンテンツを継続的に提供していくことが求められます。

 これに対し、「広告費で稼いでいるメディアの記事を信用していいの?」「どうせクライアントの良いところばっかり書いているんじゃない?」なんて質問をされることも多いのですが……。「いいえ、それは違います」と胸を張っていえる理由は、また別の記事でご紹介しますね。

アイティメディアで働くということ

 長くなりましたが、アイティメディアのビジネスモデルについては以上です。

 「Webメディアの会社で働く」というと、真っ先に思い浮かぶのは実際に記事をつくる「編集記者」かもしれませんが、記事をつくるだけでメディアは運営できません。Webサイトやアプリを開発・運営するエンジニアや、クライアントのニーズに合った広告商品を考案する企画、それを提案・販売する営業など、さまざま職種がそれぞれ支え合うことではじめて、企業として継続的にメディアを運営することができるのです。

 読者に必要とされるメディアを運営していくことと、一企業として稼いでいくこと。そのどちらもがアイティメディアには必要不可欠。ここを押さえた上で、自分はどんな仕事をしたいか、どんな形でWebメディアと関わりたいか、改めて考えてみてください。あなたのやりたい仕事が、より具体的に見えてくるかもしれません。