アイティメディアでは、社員の志向や強みを活かしてイキイキ働けるよう、ある一定の等級からキャリアパスを選択制にしています。具体的には、組織長として組織の業績を最大化する「組織価値コース」と、個人の高い専門性で組織に貢献する「個人価値コース」の2つです。どちらのコースも価値発揮レベルが等しければ、等級や報酬のレンジは同じです。
ところでみなさんは、管理職に対してどのようなイメージをお持ちですか? 「いつも忙しそう」「なんだか大変そう」といったネガティブなイメージがあるかもしれません。そこで、アイティメディアで管理職を担っている社員の声をお伝えすることで、当社における管理職の実際の姿を知っていただければと考えています。
今回は、組織価値コースで組織長として実績を積み、メンバー育成にも力を入れている、営業本部 第二営業統括部長の細沢功と、細沢の下で組織価値コースを選択した、営業本部 第二営業統括部 第三営業部長の内海優に、人事部長の三小田がインタビューしました。管理職にとっての2つの大きな役割である、「仕事の管理」と「人の管理」のうちの人の管理、とりわけメンバー育成の部分に焦点を絞って、組織価値コースの役割ややりがい、組織価値コースを選んで成長する過程を、たっぷり語ってもらいます。
個人のモチベーションと会社の成長を接続する
――まず細沢さんにうかがいます。管理職の役割とやりがいを教えてください。
細沢: 管理職の役割は、メンバー本人にとってのモチベーションと、会社の成長の中で果たすべき役割の接続だと考えています。メンバーのモチベーションは様々で、必ずしも「会社のため」とは限りません。しかし、モチベーションが会社の成長に接続できていなければ、社員としてよいパフォーマンスは出せないのではないでしょうか。この点、以前は「自分が引き上げてやらなきゃ」と思っていたのですが、今はモチベーションと役割を接続できれば、本人も含め、全員が幸せになると考えています。
そのためには、ひとりひとりのモチベーションのコアに向き合い、理解することが必要です。営業としてクライアントニーズに合致した提案をするのとそれほど変わらない感覚ですね。
次に、やりがいだと感じているのは、自分の影響範囲をより広げられることです。影響範囲が広い分、発言には責任が伴いますが、経営層に自分の考えを直接伝えられるようになりました。部下にとってよりよい環境を作るためにも、影響範囲が大きくなったのはよかったと感じます。
また、自分一人では達成できない大きい成果を上げられるのも管理職のやりがいですね。ひとつひとつの仕事は自分でやったほうが早いかもしれませんが、より大きなことを成し遂げるためには、メンバーの力を結集する必要があります。「早く行くならひとりで行け、遠くへ行くならみんなで行け」というアフリカのことわざがあるのですが、この中に私が伝えたいことが凝縮されていると思います。
――「Will・Can・Must」のフレームワークを意識されているのですね。本人のWill(やりたいこと)とMust(会社が期待していること)をつないで、不足しているCan(できること)を高めるために、機会提供をされていると感じました。それでは、細沢さんがメンバー育成のために力を入れているところを教えてください。
細沢: メンバーのモチベーションのコアを把握し、年次や外的影響による変化も認識することです。自分で「こうかな」と推測するだけではなく、「これで合っている?」と直接聞きます。そのすり合わせがないと何も始まらないです。
――色々なメンバーがいると思いますが、メンバーを管理職に引き上げたいと思うポイントは何ですか?
細沢: 組織が求めるやるべきことに対して、仮に本人の興味と一致していなかったとしても、自分のモチベーションのコアを接続できるメンバーに、管理職に向けた期待をかけるようにしています。管理職になると、個人の興味の方向にエンジンを動かして突き抜けていくだけでは済まない仕事が増えますから、それに対する耐性は重視します。
メンバーには、そろそろ管理職にチャレンジする準備が整ったと思ったら、本人がやりたくないことをあえてやらせます。やりたくないけれど自分のモチベーションと接続できるのか、あるいはやりたくないということで終わってしまうのか、管理職の適正を測るポイントとして見ていますね。
――とても大切なポイントですね。しかし、中には嫌われることを恐れて、メンバーがやりたくないことをやらせるのに腰が引けてしまう管理職もいると思います。細沢さんがメンバーにそういった挑戦をさせられるのはどうしてですか?
細沢: 私も、メンバーがやりたくない気持ちは理解しています。ただし、成長につながると確信できれば、自分の意図を説明したうえで、納得して取り組んでもらえるよう、粘り強く向き合っています。もちろん、ただ挑戦させるのではなく、しっかり伴走して心理的安全性を確保すれば、メンバーはやりたくないことにも取り組んで成果を挙げられると思っています。
――本人がやりたくないことにも、組織には必要なことがあり、それが全体に求められるならやろうというエンジンを積んだ人物かどうかを見ているのですね。具体的に、こんな課題を与えたらメンバーの意識が変わったというような経験はありますか?
細沢: 今日来ている内海には、どういう部長になりたいと思っているかと、自分自身のモチベーションのソースを徹底的に考える課題を出しました。管理職は、プレイヤーとしての能力が優れていることは大前提として、自分の志も持っていないと担えない役割だと考えています。彼の能力的なところは日々の仕事の様子で確認できましたので、後者の志の部分により磨きをかけるために、こうした課題を出したのです。アウトプットを見て、彼の中で意思が固まったと判断したので、半期の成績とあわせて、部長に上げる判断をしました。
仕事を任せるためのビジョンある舵取り
――細沢さんは今おっしゃったような意図で内海さんに接していたそうですが、内海さんはどのような気持ちでしたか?
内海: 細沢さんとは前職からの知り合いで、仕事ぶりや人間性をよく知っていますし、大所帯をマネジメントしながら新しいプロジェクトを推進している姿を見ていて、細沢さんの真似はできないと思っていましたね。自分は二番手気質が強いこともあり、自分の中でのモチベーションは、細沢さんのチームの二番手として活躍することでした。その先のステップはぼんやりとしか描けていませんでした。
そこから、自分も部長としてメンバーを率いてみたいという気持ちになったきっかけは、チーム長(※)になってメンバーの育成責任を与えられたことです。同時に社内のプロジェクト、部内のプロジェクトでリードするというミッションを細沢さんから渡されたのも、大きな転機でした。振り返ってみれば、そういった場面で自分の足りない部分に気づいてから、管理職へのステップを考え始めたと思います。
※アイティメディアにおける「チーム長」は、管理職1歩手前の役職です。2~3名のメンバーをまとめる長として、チーム成果を最大化する役割です。
――チーム長やプロジェクトリーダーを務める中で、組織価値コースに行こうと明確に決意したタイミングはありましたか?
内海: はっきりとしたタイミングはなかったかもしれないですね……。
ただ、自分個人のためにというより、誰かのためにというほうが、自分としてはパフォーマンスが発揮できると常々思っていたこともあり、プロジェクトのリーダーとしてやることと、管理職としてやることでは、自分として大きな違いはないと思いました。そこから、組織価値コースに挑戦しようという気になりました。
これは細沢さんとも話したことがありますが、私は自分のために何かをしたいというより、周囲からの期待に応えたいタイプです。自分の業績を達成しても自分がうれしくて終わりですが、チームで業績を達成すると全員で喜べる点も、うれしさややりがいにつながっています。
――細沢さんは横で見ていて、変化していく様子は感じていましたか?
細沢: 内海は正式に部長になる前から、自分のことというよりは、持たせているチームや後輩も含めたことを考えるタイプでしたから、責任の範囲は大きくなっても、その点で変化はないと考えています。
変わった点を挙げるなら、自分のことだけでなく部下に及ぶ影響も考えられるようになりつつあることですね。もともと、本人が言われたことは責任をもってやり遂げるタイプだった分、自分が課題を飲み込めば、部下にも同時にそのタスクを課すことになる意識が足りていませんでした。その点を徐々に理解できて、発言も変わってきています。
内海: それは自分でも感じます。言われたことはやってみるのが私のスタンスですが、そういった自分の姿勢をメンバーにも求めてしまうのは、管理職として考えを変えたい点です。
また、業務をメンバーに与えたときに、最も効率的に、全員で力を合わせられる方法は何かと考えるようになりました。今までは自分で手を動かせば済む話でしたが、現在は人に任せる立場なので、舵取りをしていくためのビジョンの作り方や伝え方が、非常に重要だと感じています。仕事を任せるためには、メンバーのモチベーション、得意不得意や人間性などをしっかり把握したうえで、動機付けをすることが必要ですよね。また、メンバーのキャリアプランも一緒に考えたうえで、能力開発的な側面からも仕事に対するモチベーションを上げていくことも考えながら、マネジメントをしています。
管理職になってからは、メンバーと同じ仕事をして背中を見せるよりは、自分がやりたいことをしっかり言葉にして、思いを伝えて、発信していくことのほうが、意識的なウェイトとしては大きくなりましたね。
チャンスは手を挙げている人にやってくる
――最後に、キャリアとして組織価値コースは難しいと思っているメンバー、あるいはどうしようか迷っているメンバーに、お二人からメッセージをお願いします。
内海: まずは、自分の今の能力だけで判断しなくていいのではないでしょうか。当社は役割に応じた役割等級なので、役割をアサインされるということは、その役割を果たしてくれそうだという期待の表れだと思います。その期待に応えようと思えるなら、チャレンジしてみていいと思いますよ。挑戦してみたら、まだ気づいていない自分の能力や、伸びしろが見つかる可能性もありますよね。
また、傍で見ていると管理職は仕事が大変そうだと思うかもしれませんが、実際は面白いことや新しい気づきもありますし、そもそも今いる管理職の誰かに似た形を必ずしも目指さなくてもいいのだと思います。これは自分が管理職になった時から自分に言い聞かせていることですね。誰かの真似ではなく、自分にしかできない管理職像を作ろうと思ってチャレンジしています。
細沢: 組織価値コースと個人価値コースには優劣があるものではないし、責任の大小もない前提でお話ししますね。
まずは、組織価値コースがすでに視野に入っている方に対してのメッセージですが、迷うならやってみたらいいのではないでしょうか。
影響範囲は、会社の中に限れば、組織価値コースのほうが大きくできます。また、冒頭にお話ししたように、個人の力よりさらに広い範囲も含めて影響を出すポジションですので、資質的にそれほど向き不向きはないと思いますよ。
ただし、「やりたいからいつでもできる」わけではないので、自分一人で挑戦を決められませんし、チャンスもそう何度も巡ってはきません。そもそも、迷うということ自体が、やれるかもしれない気持ちが多少はあることの表れだと思いますから、やってみたらいいのではないでしょうか。
そして、まだそこまでのポジションではないが、おそらく組織価値コースは難しいと思ってしまう方に対しては、手を挙げていたほうが損はしないと伝えたいですね。
チャンスは、「頑張ってその役割を目指したい!」と言っている人に巡ってきます。それならば可能性があるうちは、手を挙げて待つほうがチャンスのボールが回ってくる可能性が上がるかもしれません。結果として損はしないのではないでしょうか。
また、もしも組織価値コースでうまくいかなかったとしても、それは自分の責任ではなく、アサインした側の責任です。他人に思いを伝えるために、自分の軸を固める機会にもなるので、考えすぎずに挑戦すればいいと思いますよ。
――ありがとうございました。お二人の組織価値コースでのますますのご活躍を期待しています!
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