アイティメディアが運営するWebメディアのひとつ、Fav-Log by ITmedia(以下Fav-Log)は、2019年12月に開設された、当社の中では比較的新しいメディアです。Fav-Logは、ネットユーザーの製品選びを支援する「お気に入り」発見サイトとして大きく成長を続け、買い物に役立つさまざまなジャンルの商品情報を提供しています。2024年1月には、開設5周年を迎えたFav-Logの編集部が、特に優れた新規プロジェクトに与えられるInnovation社長賞を受賞しました。ビジネスとしてメディア運営を続けることは、信頼できて役に立つ情報発信を行うことと、トラフィックを獲得して収益を得ることを両立する必要があります。読者と広告主のどちらからも価値を認められるメディアを立ち上げ、5年間継続した業績が高く評価されました。
この記事では、Fav-Log編集部から、事業統括本部 BtoCメディア事業本部 編集統括部 Fav-Log編集部 編集長の平賀洋一と、編集記者の細田美佳、赤津加恵のインタビューをお届けします。聞き手は採用担当の大塚です。
――Fav-Log開設5周年、そしてInnovation社長賞の受賞おめでとうございます! さっそくですが、自己紹介を兼ねて皆さんの業務を教えてください。
平賀: 私は、編集長として、掲載する記事の方向性を決め、今後目指すべきあり方を考えるなど、Fav-Logがより読者に貢献できるよう、メディア全体の視点から運営に携わっています。また、編集部メンバーの目標達成や成長に伴走するマネジメントも行っています。
細田: Fav-Logの記事の編集や執筆を行っています。中途入社以来、ずっとFav-Logの記事作成に携わっていて、そろそろ4年目になります。部内では、平賀さんより更にメンバーに近い位置でのまとめ役もしています。
赤津: 私もFav-Logの記事作成を行っています。主にファッションやアウトドアジャンルを手がけることが多いです。細田さんと同じく、メンバーの中のリーダー的な役割も担っています。
カジュアルなお買い物ガイドメディア、誕生
――Fav-Logは2019年に開設され、5年目を迎えていますが、立ち上げからこれまでの経緯は、どのようなものだったのでしょうか?
平賀: Fav-Logは、買い物を楽しくする「お気に入り」発見サイトというコンセプトのもと、一般の読者向けのお買い物ガイド(バイヤーズガイド)メディアとして誕生しました。アイティメディアは、Web専業のメディア企業として約25年の歴史があり、テクノロジー領域で専門性の高い情報を発信するメディアを多数運営しています。一般読者向けに製品を紹介するメディアとしては、「ITmedia Mobile」「ITmedia PC USER」がありますが、いずれも専門的な情報が中心です。これらよりもさらにカジュアルな買い物の場面で参考になる情報発信を、アイティメディアが長年培ってきた信頼のもとで行うことがねらいでした。
開設したばかりの頃は、スタッフが私ひとりだったので、記事作成や掲載作業も自ら行っていました。メディアの成長に合わせて編集部の人数も増え、今は私を含めて8人がFav-Logに携わっています。取り上げる製品のジャンルも、当初はPCやスマートフォン、家電といったテクノロジーと密接に関連するものが中心だったのですが、試行錯誤しつつ次第に多様化してきました。たとえばファッションや時計、生活用品、アウトドア用品のような、需要が高く選択肢も多いジャンルを扱っています。新型コロナウィルスの感染が拡大していた時期はマスクの情報を発信するなど、その時々の世の中で必要とされているものにも対応してきました。
メディアを運営する編集部の体制も、人数が増えたことも含め、状況に合わせて変化しています。2024年10月からは、編集記者それぞれの担当分野をより明確にする取り組みを始めました。また、編集部では「スマートワーク制度(※)」やフレックスタイム制を活用し、それぞれのライフスタイルに合わせて、柔軟な働き方を実現しています。
※スマートワーク制度……働く場所をオフィスなどに固定せず、一定の条件の下で自由に選択できるアイティメディアの制度。
――開設当初は、平賀さんがおひとりで運営されていたんですね! その頃と今で、心境の変化はありますか?
平賀: メディア開設当初は、果たして軌道に乗れるかという懸念はありました。それは、Fav-Logが、アイティメディアの他のメディアが得意としてきたPVの取り方とは違うアプローチを求められたためです。結果として順調に拡大できているものの、一般の読者向けの買い物ガイドというメディアの性質もあり、読者層に届くかどうかは、外部環境に大きく左右されます。そのため、Fav-Logはこれで安泰という気持ちになったことは、まだありません。今でも、たくさんの読者を集めるための手法を日々試行錯誤して、メディアを運営しています。メディアとして成長を感じたのは、メンバーを増員したときですね。2021年には、Fav-Log編集部として採用を行い、編集記者の仲間を迎えることができました。
――編集部の人数が増えることは、メディアの充実につながり、成長を実感できそうですね。細田さん、赤津さんも、Fav-Log編集部で印象に残った経験があれば、教えていただけますか。
赤津: 女性向けプレゼントのおすすめ記事に「記事を参考に職場の人にプレゼントを選び、相手の方に喜ばれた」とのコメントをいただいたことが印象的です。書いた記事が読者の行動につながり良い結果を生んだことに、大きなやりがいを感じました。
細田: 私も、自分の家電レビュー記事に好意的なコメントをもらった経験が印象に残っています。記事を読んで購入し、商品に満足したコメントをいただけると、行動のきっかけ作りができたことが分かってうれしいですね。
また、編集部内でリモートのランチ会をしたことも印象深い思い出です。私はコロナ禍での入社だったため、他のメンバーと顔を合わせる機会がありませんでした。そこで平賀さんが配慮してくださり、お弁当をそれぞれの自宅に配達してもらって、Web会議システムをつないでランチ会をしました。同僚と会えない中、業務外のコミュニケーションが取れるとてもよい機会でした。
「これまで」への評価、「これから」への期待
――皆さんの努力に、読者のコメントや平賀さんの取り組みなど部の内外の働きかけも加わり、ひとつのメディアとして継続できているんですね。そして、このたびFav-Logは5年目を迎えて、Innovation社長賞を受賞されました。皆さんのご感想を教えてください。
赤津: これまで様々な外部環境の変化があり、私も途中から立ち会ってきました。どんなときもFav-Logを支え続けた編集部の頑張りが、5年目という節目で評価されてうれしいです。
細田: まず、編集部が努力を重ねて節目を迎えたことを、会社がお祝いしてくれるのに驚きました。これまでのキャリアで初めてのことでした。変化の激しい環境の中で、Webメディアが生き残るのは難しいことです。その中で、Fav-Logが無事に5年目を迎えられたのは、素晴らしいことだと思います。
平賀: Fav-Log編集部は、Innovation賞を2021年1月にも受賞しています。そのときは、幅広い読者層向けのお買い物ガイドメディアという新しいビジネスモデルを作り出せたことを評価していただきました。今回は、5年間継続できたことが評価され、そしてこれから先も継続していけそうだというお墨付きのようなものがもらえたのではないかと思っています。
――Fav-Logの運営が続いたことで、メディアとしての存在感も増しているのではないでしょうか。皆さんが実感する機会はありますか。
細田: Fav-Log編集部のメンバーとして入社したときは、立ち上げ間もないWebメディアということで、家族から心配されることもありました。今は、5年続いているなら大丈夫なんじゃないかと安心してもらっています。
赤津: 知人にFav-Logの編集記者をしていると話すと、すぐにぴんとこなくても、改めて調べてくれて、検索で上位に出てきて読んだことがあると教えてもらえるときがあります。Fav-Logというメディア名そのものは意識していなくても、自然に検索を介した情報源のひとつとなって、よく読まれるようになっているのかもしれないと思います。
平賀: Fav-Logは、一般の読者に向けた様々なジャンルの商品を紹介するメディアという性質上、商品の関係者などから直接反応をもらう機会は多くありません。ただ、記事の閲覧数など数字的な部分では、規模の拡大や、記事が購入につながっていることを把握できています。また、ECサイトの担当者にも期待を寄せられ、Fav-Logを通してもっと売上を伸ばせるのではないかと提案を受けています。そのような形で、お買い物ガイドメディアとしての役割を果たせていることは、日々実感しているところです。他には、記事の内容がテレビ番組に取り上げられたり、細田さんが自身の記事がきっかけでラジオに出演したりしたことも、影響力が大きくなってきたことの表れではないかと思いますね。
「お買い物」の多様性に応えられるメディアへ
――Fav-Logらしい形で、メディアとしての影響力を広げていっているんですね。最後に、編集部として今後やってみたい取り組みを教えてください。
赤津: メディアそのもののファンを増やす取り組みをしてみたいです。検索で表示されたから閲覧するというより、最初からFav-Logを目当てに閲覧する読者がいるような、もっと身近なメディアを作りたいんです。たとえば、読者から募集した疑問を解決するなど、双方向的なコンテンツを作ることを考えているところです。
細田: Fav-Logは5周年を迎え、まだまだ成長し、影響力を拡大していけるWebメディアだと思っています。今後は、扱う商品のジャンルを増やして、目標をどんどん達成していきたいです。
平賀: 編集部員も増えてきたので、これまで以上にジャンルを広げていきたいですね。また、アイティメディアの他の多くのメディアは、特定の層に向けた専門性の高い情報を発信していますが、Fav-Logは買い物をする人全員に向けて様々な商品を紹介する、社内ではユニークな立ち位置のメディアです。この特徴を生かして、より多くの読者に情報を届ける方法を模索していきたいと思います。個人の買い物には、ニーズも、商品も、予想できない多様性があります。Fav-Logは、その多様性に対応できる媒体になっていきたいです。
――ありがとうございました! 改めて、Innovation社長賞受賞おめでとうございます。