アイティメディアでは、多様な背景の社員を支援する制度を運用しています。支援のひとつとして挙げられるのが、ビジネスにおいて「最大の少数派(マイノリティ)」といわれている女性社員の活躍推進です。女性が活躍できる環境を整えることは、アイティメディアにとってとても重要です。なぜなら、アイティメディアはWebメディアの記事や企画、マーケティング施策の提供といった、「人」が生み出す価値で社会貢献する企業だからです。
今回は、アイティメディアで活躍中の女性社員の姿をお届けするべく、BtoBメディア事業本部 メディア本部 編集局 IT編集統括部 ホリゾンタルIT編集部 業務ITチームの溝田萌里にインタビューしました。溝田は、新卒で入社し、産休・育休を経て、企業の情報システム担当者向けWebメディア「キーマンズネット」の記事作成を行う編集記者として活躍しています。聞き手は、人事統括部 HRリクルート&サポート部の堀です。
文章の力でテクノロジーを伝えたい
――溝田さんは、2017年にアイティメディアに新卒でご入社されました。大学の学部は、テクノロジー領域ではなかったようですが、なぜアイティメディアで編集や執筆を行うキャリアを選んだのでしょうか?
溝田: 信頼性とオリジナル性の高い記事を執筆したいという自分の希望を、アイティメディアでかなられると考えたこと、そして大学時代の経験を生かせそうだと感じたことが理由です。
私は学生時代に、インターンでWebメディアの記事作成をしていました。最初は既存記事の再編集をすることが多かったのですが、徐々にインタビューをして一次情報を集め、オリジナル性のある記事を執筆するようになりました。自分なりの視点で記事を作成する楽しみと、その記事で誰かを幸せにしたいというその思いを実現したくて、就活では広告業界やメディア業界を中心に受けていました。
アイティメディアは、Webメディアとしての機動性と記事の信頼性を兼ね備えているところが魅力的でした。最終的にアイティメディアに入社した理由は2つあります。1つ目は、IT領域の情報を、分かりやすく伝えることに貢献したかったためです。大学での研究テーマだった、科学と文学の接点とも、近いものを感じました。
2つ目は、アイティメディアの従業員に惹かれたことです。選考に伴走してくれた人事が、「私の人生にとって当社に入社することが幸せか」を一緒になって考えてくれたんです。そこまで深く寄り添ってくれた人事の方は就活をしている中で他にいなかったように記憶しています。内定後にアイティメディアでインターンとして働いた際も、情報発信者として軸を持った多くのスター記者に出会い、ロールモデルになりました。
人とのつながりで良い記事が生まれる
――入社後は、一貫して「キーマンズネット」というメディアの編集部に在籍されていますね。編集部でのご経験についても聞かせてください。
溝田: キーマンズネットは、企業の情報システム担当者向けのメディアです。私の業務は、キーマンズネットに掲載する記事を自分で執筆したり、外部のライターの原稿を編集したりすることです。また、最近は、イベントの企画や登壇もするようになりました。クライアント企業の年次カンファレンスで、市場のトレンドや課題について話をしたり、オンラインセミナーについてお酒片手に緩く談義するWebイベントに出演したり、いろいろなチャレンジをしています。
※溝田が手掛けた記事はこちら! いずれも四半期の優秀記事として社内表彰されています。
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配属当初は、新しい世界を学ぶ楽しみを感じつつ、苦労もありましたね……。ITの知識は勉強していけばいいと思えたのですが、キーマンズネットの主要読者である情シス部門になじみがないため、その人たちのニーズを知るのに苦労しました。インターン時代から、読者目線で考えることが一番大事だと言われ続け、自分でも記事作成の指針にしていたので、何をネタとして取り上げるべきなのかが分からず、悩ましい時期でした。
そこで心掛けていたのが、編集長や先輩が紹介してくれた情報を極力全て追いかけることです。そうすると、自分では半信半疑で書いた記事でも読まれるようになりました。そのうち、自分にも読者が知りたいこと、興味がありそうなことの感覚が宿っていきました。内容はもちろん、記事タイトルや引きの工夫など、自分の案を直されたときも諦めず、全力で考え抜いて真摯に取り組んだ成果だと思います。
成長したと感じたタイミングは、3年目でしょうか。それまでの取材活動で協力いただいた方々との関係の中で、ゼロから情報を取りに行くのではなく、情報をいただくことが増えてきました。アウトプットのかたちも記事だけでなくイベントなどに広がり、人とのつながりの中で良いコンテンツが生まれることを実感するようになりました。
仕事と育児、違う価値観で心のチューニングをする
――その後、2019年末から、2021年まで産休・育休を取得されましたよね。復帰したときの感想はどうでしたか?
溝田: 育休中は社会との接点が少なかったこともあり、久しぶりの仕事は楽しかったです。復帰当初はとても張り切って仕事をして、その分成果も上がりました。でも、出力120%の状態を継続することはできなかったですね……。
育児と仕事のバランスにも悩みました。記事の執筆や編集は、時間をかけるほど本数をこなせますし、品質が上がることもありますが、時短勤務を選択したこともあって、以前と同じやり方で同じパフォーマンスを出すことは難しくなりました。同時に、復職後は育児や家事にかけられる時間も短くなり、理想と現実のギャップが生まれます。アイティメディアには、働く場所を自分で選べるスマートワーク制度がありますから、時短勤務だけではなく在宅勤務も可能です。また、上司や編集部のメンバーも、育児で業務時間を長く取れないことは理解してくれていました。良い環境の中で働けているので、無意識に「以前の自分を基準にする」考え方を変えなければいけないなと思いました。
これは母に言われたことですが、「育児と仕事を足して100で良い」と考えるようにしています。自分の力や気持ちの全てを一つに割くことはできませんし、育児と仕事のどちらかに傾きすぎて片方がおろそかになればストレスを感じてしまいます。“やじろべえ”のようにうまくバランスをとるために、当然「やらない」選択をすることもあります。
この選択は、自分は何がしたいのか、幸せとは何かを考える機会にもなりました。
例えば、育児では、寝る前の読み聞かせを極力続けています。子供とゆっくり過ごせる大切な時間で、今後もやりたいと思っていることです。一方で、忙しい時期は、食事をパターン化したり、掃除は週末に回したりすることもあります。毎日全てのことを完璧にするのではなく、1週間、2週間とまとまった時間の中でバランスが取れていればいいと考えるようにしています。また仕事では、自分が力を入れて発信したいテーマの記事に時間を割いて、外部ライターの方に依頼する記事は、納品後の編集作業が少なくて済むような発注を心掛けています。地味なことですし、家族の健康や希望、組織の目標という枠組みは大前提としてありますが、自分自身で選んでいるという感覚が幸福度を上げる気がしています。
突き詰めていけば、本当の意味で私しかできない仕事もないですし、親が多少手を抜いても子供はちゃんと育ってくれるとも言われます。「○○をやるべき」というタスクベースの考え方だとつらくなってしまうので、自身が何をやりたいか、やってあげたいのかということにもう少し耳を傾けて、育児も仕事も組み立てようと思うと気が楽になりました。
「育児と仕事のどちらにも全力を注げない」というとマイナスに聞こえそうですが、双方を経験することで世界の見方が少し広がる感覚もあります。出産前は、常に全身全霊で仕事をしていました。気になるテーマを追究して、それが読者に届き、実際の数字になって評価されるのは、とてもやりがいがあります。一方、ダウナーなときは短期的な成長や数字だけに注目してしまって、疲れることもありました。
子育てという柱が人生に増えたことで、短期的な目標があり、それに向かって最適化することだけが正ではないということを日々感じるようになりました。人間が死に向かって進んでいるとすると、人より早く歩けたり、話せたりすることがえらいわけではありませんし、最適化することにあまり意味はありません。親としては、ただ子供に日々を楽しく、健康に過ごしてほしいと考えています。数字や最適化とは全く別の世界に心がチューニングされることで、バランスが取れるような気がします。もちろん、切り替えは大変ですが(笑)。
「読まれる成功パターン」を作りたい
――育児と仕事を両立されている溝田さんの実感がこもったお話、私にもとても学びがあります! 先ほど、「編集部の皆さんは育児に理解が深い」というお話がありましたが、溝田さんは現在キーマンズネット編集部でどのような役割を果たしておられるのでしょうか?
溝田: 大きく分けると3つあります。1つ目は、記事の企画から、執筆編集、入稿までを手掛けることです。2つ目は、アイティメディア主催、または顧客主催のイベントの講演内容を企画し、登壇者をアサインすることです。3つ目はまだ割合が少ないですが、私自身がイベントに登壇して、講演することです。クライアント企業とのタイアップ記事など、責任の大きな仕事もあるので、記事制作の仕事が割合としては大きいですね。イベント関連の仕事は、全体の3割くらいでしょうか。昨年は、新卒社員のチューターも担当しましたが、配属時からやりたいことがはっきりしている優秀な従業員だったので、成長していく様子を横で見ていた感じです。
キーマンズネット編集部は、バランスがとてもよく、居心地の良いチームです。よく言われるのは、「アットホーム」ということですね。志向や能力の面でも、メンバーそれぞれが得意分野を持っている気がします。私の役割としては、編集部の在籍年数が一番長いこともあり、「読まれる成功パターン」を作りたいと考えています。
先ほど、「メディアの主要読者が面白いと感じること、求めているもの」をつかみにくかったという話をしました。経験を積んでも読者のニーズやトレンドをつかむこととは難しいことですし、どのネタをどのような切り口で出すのかという判断と料理の部分はAIが代替しにくい部分だと思います。少なくとも在籍年数の分、記事の方向性やタイトルの決め方など成功パターンを見てきているので、それを記事で再現するとともに、新しい成功パターンを探ることでチームに貢献できたらと思っています。
――新卒時代の真摯な取り組みで養った感覚が、キャリアの中でずっと役立っているんですね。今後のキャリアについて、考えていることはありますか?
溝田: いろいろな経験を次の新しい機会につなげていきたいですね。ひとつの経験から、記事に限らないコラボレーションの機会が広がるように心掛けたいです。イベント登壇のお話があれば、充実した内容の講演ができるよう勉強するなど、活躍の場も広げられればと思っています。
復職後、周囲から受けたアドバイスで、「費やした時間以外でも価値を生み出せるようになる」というものがあります。出産前は、単に時間をかけること仕事の質を上げようとしていました。今後は、知識や経験を生かして、仮に所要時間が短くなっても、新しい機会につながるような価値の高い仕事ができるようになりたいと考えています。
やりたいことがあるから成長できる
――確かに、時間以外のところで価値を生み出せれば、時短勤務であっても成果が上げられますよね。社員の価値発揮を最大化する人事としても、勉強になる考え方です! 最後に、アイティメディアの編集記者を志望する方に向けて、メッセージをお願いします。
溝田: アイティメディアの良いところは、現状の実績にとらわれることなく、期待役割に応じて仕事を任せてくれることです。やってみたい仕事を上長との1on1で共有することで、近しい仕事に挑戦させてもらえます。もちろん最初から一人で放り出されるのではなく、上長や先輩に伴走してもらいながら成長できます。
自分の状況に応じて程度を調整することもできます。私の場合、子供に手のかかる時期は、仕事に割ける力が一時的に少なくなりますが、上長に相談して柔軟に対応してもらえています。テレワーク中心の部署ということもあり、基本は自律的に仕事を進めつつ、その時々で業務を調整して、私生活と仕事を両立できています。
自律すること、成長志向であることは、アイティメディアの従業員に共通する特徴です。指示された仕事を受け身でこなしているだけでは、どんなことも「大変だったな」と感じるだけで終わってしまいます。自分の意思があるから頑張れますし、試行錯誤したことは必ず自分のものになります。だからこそ成長できるんだと思います。
アイティメディアの編集記者に共通するのは、好奇心や、知らないことを知りたいと思う気持ちです。特にキャリアが浅いうちは、記事制作の中で知らないことに触れる機会が多いです。知らないことを知って成長したいという意思があれば、機会も自然に増えるのではないでしょうか。もちろん、壁にぶつかったときは私をはじめとした先輩を頼ってほしいです。成長する意思と好奇心、自分から助けてほしいと言える積極性、アドバイスを真摯に実行してみる素直さがある人は、もしテクノロジーの知識がまだなくても、アイティメディアの編集記者に向いていると思いますよ!
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